大好評連載の「小野澤宏時のオフ・ザ・ボール」ですが、今回はご自身も2児の父親である小野澤宏時氏が、そんな悩める皆様の質問にお答えします。
スポーツ・文化・芸術に取り組むジュニアアスリート達とそれを支える指導者、保護者達。真剣であればあるほど、抱える悩みは尽きないもの。大好評連載の「小野澤宏時のオフ・ザ・ボール」ですが、今回はご自身も2児の父親である小野澤宏時氏が、そんな悩める皆様の質問にお答えします。
Q. 「息子は小学校からサッカーをやっていて、中学生になってからは外部のクラブで続けていくことになりました。小学校から一緒にサッカーをやっていた親友は、中学の部活に入りながら塾に通うようです。クラブは練習が夜になってしまうので塾に通うのが難しく、本人は練習を休んで塾には行きたくないと言っています。塾に頼らず自分で勉強も頑張れればいいのですが、もともと勉強が嫌いな子なので、親としては心配です。スポーツと勉強を両立させるいいアドバイスがあればお願いします。(保護者)」
そこは僕もいまだに悩んでいる部分です。夢中になれるものを発見できたことについては非常にポジティブなのですが、親の立場で子供の将来を考えた時に、スポーツに夢中になっていていいのか?という疑問は残ります。「スポーツなんかやっていても生活できないでしょ」という、大人がイメージする将来のゴールが親には見えているからでしょう。
いま僕もスポーツに携わる仕事をしていますが、周りの意見を聞いていると「部活動の在り方」や「引退後のキャリア」などスポーツについてネガティブな発言が多く「スポーツなんて意味はないよな〜」と思ってしまうときさえあります。
ですが、意味のないことは排除すればいいというものではないので、自ら情熱的に活動ができている事に対しては、「イイね!」と判断してあげてはどうでしょうか?その上で、競技力が向上するための文献を調べたり、興味のあることを掘り下げるだけでなく、共感を得られるように、人に伝え説明するためには、伝えるためのツールが必要となってくることに気がつくはずです。
「勉強しなさい!」ではなく、「この前の試合を数字や言葉でわかりやすく説明してみない?」など、スポーツで起こった現象を形式値化して、子供たちと一緒に話してみるというのも面白いかもしれません。
いま、僕はある教育委員会と共に「道徳×スポーツ」として横断的学習について研究しています。協同問題解決能力として「他者との関係性への価値づけ」や「共同作業への価値付け」などのスコアと、団体球技での運動量をGPSで計測し、どのような関係があるのかを分析しています。
「スポーツをすると〇〇が向上する」という考え方だけではなく、『体験する』事で座学での学びに対する理解を深め、「頭では分かっていても納得できない」という現象を表に出しながら、子供たち自身で解決するようなことに取り組んでいます。6回の授業後にスコアが変化する項目などもあり、興味深い結果が出てきています。もう少しまとまった段階でみなさんに報告できればと思っています。
僕は意味を持って生まれてきたわけでは無さそうなので楽しく生きようと思っています。
<問い合わせ>
Bring Up Rugby Academy
ブリングアップ ラグビーアカデミー静岡校
詳しくはこちらまで!:https://www.bu-as.com/
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第九回 人から必要とされているようであればチャレンジしてみよう
<プロフィール>
小野澤 宏時(おのざわ ひろとき) 静岡県島田市金谷町出身。1978年生まれ。元ラグビー日本代表。静岡聖光学院中等部、高等部、中央大学を経て、トップリーグではサントリーサンゴリアス、キヤノンイーグルスに所属。日本代表キャップ数(出場回数)81は歴代2位。名ウィングとして「うなぎステップ」を武器に代表戦55トライ。現役時代から教育に興味があり教員免許を取得後、筑波大学大学院へ進学、その後日本体育大学の修士課程から博士課程に進み、教育、指導に関する研究に携わる。2018年よりBring Up Rugby Academyコーチ。2019年より、静岡初の女子7人制ラグビーチーム「アザレア・セブン」監督。他、大学講師など多方面で活躍中。
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