スポーツ・文化・芸術に取り組むジュニアアスリート達とそれを支える指導者、保護者達。真剣であればあるほど、抱える悩みは尽きないもの。大好評連載の「小野澤宏時のオフ・ザ・ボール」ですが、今回はご自身も2児の父親である小野澤宏時氏が、そんな悩める皆様の質問にお答えします。


Q1.「練習がきついです。とにかく走るのが辛いです。コーチにはとにかく走れと走らされます。この頃は今日も走るのかと考えると憂鬱になってしまいます。人数は少ないので試合にも出られるし、もともと野球は好きなので、もっと頑張りたいとは思っているのですが、こんな時はどうすれば乗り越えられますか?(中学1年)」


質問だけでは距離や時間が分からないため「とにかく走る」という部活の内容が良いのか悪いのか判断できない状況です。
部活動のコーチに「なぜ?」と聞いてみるのは簡単ですが、すぐに答えを提示されてしまうのでは面白くありません。自分なりに競技の特性やポジション特性を考え、ランニングという運動から競技のパフォーマンスが向上しそうな事について調べてみましょう。その上で「とにかく」の部分に自分自身のパフォーマンスが向上するような「走る要素」を加えていくのはどうでしょう。
質問の文面であれば「とにかく走ればいい」わけで、走り方や内容が任せられているとしたら、もっと面白くなる可能性があります。例えば、ベース間の距離をダッシュし続けるとか、それを9人組で順番に走ると試合の状況に近くなるかもしれません。ベース間の目標タイムを設定するために、送球の時間を研究する事にもなるかもしれません。
ですが競技に特化した走り方をやり続けるだけだと「少し違う事への対応力」や「新しい発見」の機会を失う可能性もあります。ラグビーではインターバルトレーニングのように強度を「高負荷⇅低負荷」と交互に行うことでゲームに近い形にトレーニングを設計します。(街中を自転車で走っている時に毎回赤信号で止まると疲れるな〜と思うことはありませんか?そんなトレーニングです)
強弱をつけたトレーニングをずっと行っていると、その刺激には耐性ができるのですが、「長い時間のジョギング」のように低負荷でも継続時間の長いトレーニングが凄く辛いと感じることもあります。その時に「辛い」がなぜ?どこから起きているのかを考えることで自己認識力が高められ、身体を使った学びほぐしにも繋がります。
あとは、日々の練習を乗り越えることだけを考えるとしたら、その日のメニューと自己の辛さを数値化してみるのも面白いかもしれません。毎日同じメニューだったとしても個人で感じた「辛さの数値」が1でも低くなっていたとしたら、そこに「なぜ?」が発生します。それを見つけていくのも乗り越えるきっかけになるかもしれませんよ。

 

<問い合わせ>
Bring Up Rugby Academy
ブリングアップ ラグビーアカデミー静岡校
詳しくはこちらまで!:https://www.bu-as.com/

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第一回 どうすれば「ゲーム」に勝てる?

第二回 「コーチ1分ください」 集団で考える、学ぶ

第三回 やさしくなると、プレイが変わる

第四回 大きな怪我をしないために

第五回 親がどこまで口を出すべきか ~スポーツと親子関係~

第六回 コロナ禍での練習制限をプラスに考える 

第七回 スポーツやトレーニング後のリカバリーについて 

第八回 『部活動と運動』『運動と勉強』について 

第九回 人から必要とされているようであればチャレンジしてみよう 

人から必要とされているようであればチャレンジしてみ


<プロフィール>
小野澤 宏時(おのざわ ひろとき) 静岡県島田市金谷町出身。1978年生まれ。元ラグビー日本代表。静岡聖光学院中等部、高等部、中央大学を経て、トップリーグではサントリーサンゴリアス、キヤノンイーグルスに所属。日本代表キャップ数(出場回数)81は歴代2位。名ウィングとして「うなぎステップ」を武器に代表戦55トライ。現役時代から教育に興味があり教員免許を取得後、筑波大学大学院へ進学、その後日本体育大学の修士課程から博士課程に進み、教育、指導に関する研究に携わる。2018年よりBring Up Rugby Academyコーチ。2019年より、静岡初の女子7人制ラグビーチーム「アザレア・セブン」監督。他、大学講師など多方面で活躍中。

 

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