スポーツ・文化・芸術に取り組むジュニアアスリート達とそれを支える指導者、保護者達。真剣であればあるほど、抱える悩みは尽きないもの。大好評連載の「小野澤宏時のオフ・ザ・ボール」ですが、今回はご自身も2児の父親である小野澤宏時氏が、そんな悩める皆様の質問にお答えします。


Q1.「この4月から小学5年生になる息子についての相談です。
小学2年生の時からミニバスを始めて、こつこつと練習を続けてきたおかげで、最近では試合に出る機会も増え、親としてとても嬉しく思っています。
また、本人も自信が出てきたみたいでバスケットが楽しくなってきたようです。
ところが、このコロナ禍で体育館が閉鎖されてしまったり、試合はもちろん、練習自体もすっかり減ってしまっており、数年前に比べても、明らかにチームでの練習時間や練習量が少なくなってしまいました。
そこで自主練習で技術の向上を図らせたいと思っているのですが、バスケットの練習が出来る施設はほとんど無く、バスケットゴールを設置している公園も皆無なので、出来ることと言えば、家の前でのドリブル練習程度になってしまいます。
せめて基礎体力をつけてもらおうかと近所のランニング等はやらせているのですが、やはりそういった練習ではつまらないらしく、ついサボりがちになってしまいます。
効率よく、また楽しく自主練をさせる為には、なにか良い方法はないでしょうか?(保護者)」


この機会に他の競技を経験させてしまうのはどうでしょうか?
屋外球技であれば換気の面では心配事も少なく事前の健康チェックシートの提出により活動しているクラブも多くあります。
また、マルチスポーツをジュニア期に経験することは将来的にプラスに働くこともあるようです。
NBA(2008〜2015)のドラフトにかかった選手のうちマルチスポーツ経験の有無、プロでのプレー時間、大きな怪我の受傷についてなどを調べた結果マルチスポーツを経験していた選手のプレータイムが長く、大きな怪我も少なかったという論文を読んだことがあります。
ラグビー選手では、子供の頃には他の球技(サッカー、バスケ、野球など)だけではなく、水泳、陸上、柔道など幅広く競技を行なっていた選手もいます。海外選手だと、ボートやヨット、クリケットなどを経験した人もいます。
僕らのブリングアップアカデミー(調布校)ではアイスホッケーの陸上トレーニングとして小中学生がラグビーアカデミーに通っていたりします。彼らアイスホッケーの選手からは、体の使い方など共通するコツの獲得と運動量が確保でき、さらにコンタクトに対する違った角度からの練習もできるという評価が出てきています。
ブリングアップの場合、ラグビーアカデミーといってもタックルは行わず、ラグビーボールを使っての様々なルールを展開する中で「チームで作戦を考えプレーする」ことを繰り返し、自他理解を深めることを目的としています。
また、静岡県ラグビー協会、静岡経済同友会と共に静岡独自の新たなルールでのフットボールを作ってみました。
コンタクトは無く、持っても蹴ってもいいため「鬼ごっこ×バスケ×サッカー+ラグビーボール」というイメージで大人から子供まで同時にできるモノとなりました。
コロナでの制限を逆手に取り、新たな経験をしてみるのも面白いと思いますよ。

<問い合わせ>
Bring Up Rugby Academy
ブリングアップ ラグビーアカデミー静岡校
詳しくはこちらまで!:https://www.bu-as.com/

悩める皆様からの質問を受け付けております。こちらよりご応募ください。

 

第一回 どうすれば「ゲーム」に勝てる?

第二回 「コーチ1分ください」 集団で考える、学ぶ

第三回 やさしくなると、プレイが変わる

第四回 大きな怪我をしないために

第五回 親がどこまで口を出すべきか ~スポーツと親子関係~


<プロフィール>
小野澤 宏時(おのざわ ひろとき) 静岡県島田市金谷町出身。1978年生まれ。元ラグビー日本代表。静岡聖光学院中等部、高等部、中央大学を経て、トップリーグではサントリーサンゴリアス、キヤノンイーグルスに所属。日本代表キャップ数(出場回数)81は歴代2位。名ウィングとして「うなぎステップ」を武器に代表戦55トライ。現役時代から教育に興味があり教員免許を取得後、筑波大学大学院へ進学、その後日本体育大学の修士課程から博士課程に進み、教育、指導に関する研究に携わる。2018年よりBring Up Rugby Academyコーチ。2019年より、静岡初の女子7人制ラグビーチーム「アザレア・セブン」監督。他、大学講師など多方面で活躍中。

 

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