スポーツ・文化・芸術に取り組むジュニアアスリート達とそれを支える指導者、保護者達。真剣であればあるほど、抱える悩みは尽きないもの。大好評連載の「小野澤宏時のオフ・ザ・ボール」ですが、今回はご自身も2児の父親である小野澤宏時氏が、そんな悩める皆様の質問にお答えします。


Q1.「いま、自分は中学3年生です。サッカーをクラブチームでやっているのですが、もうすぐ引退して、高校受験に備えなければなりません。高校でもサッカーをやりたいと思っているのですが、受験勉強で数か月間練習から離れるのが心配です。勉強の合間にランニングや筋トレを自分なりにやろうと思っているのですが、そういう時の何かいいトレーニングのしかたがあれば教えてください。また今の体力を維持するには週に何回ぐらいトレーニングをすればいいでしょうか。よろしくお願いします。(中学3年)」


まずは『部活動と運動』についてです。
今回の質問の中には「体力の維持」と「運動と勉強」の2つのテーマがあります。
まず「体力の維持」についてですが、現状の自分の体力をどのように認識していますか? 筋肉の量、筋のコントロール、筋持久力、また走力の部分でも瞬発力、持久力などいろいろあります。たとえば走力だけを切り取って考えてみても「僕はけっこう走れた」とか「あまり走れない」とした時、何と比べて走れたと考えているのでしょう。仮に比べる相手を「チームメイト」とした時、そのチームは全国、世界の中ではどの程度走ることができるのでしょうか。そのため受験までの期間は「高校に入った段階でこうありたい」という、「未来に対しての準備をどのように考えるかの準備期間」とするのはどうでしょう。その際、過去にチームで測定した数値などがヒントになるかもしれません。その数値をベースにして、得られた数字に対して自己の感覚を10段階でマークしていくことで、得られた自己認識力を高める事にもつながっていきます。たとえば「〇〇%の強度で週に〇〇回行った時の疲労度」を10段階で記録していくのです。さらに、その時の状態で行った勉強への集中度も同時に記録する事で、運動強度と頻度による、勉強への負担も認識できるかもしれません。
続いて、『運動と勉強』についてです。
まず、勉強に集中するために運動を全くやらない。もしくは運動をしているから勉強が全く集中できない、などということがあるのでしょうか? 学校の中では体育で体を動かすことも室内の講義を受けることも両方あります。つまり、どちらかだけということではなく、勉強も運動も両方を高めていくことは可能ではないでしょうか。また、このような本もあるので参考にしてみてください。人間は楽しいことがあると脳の血流量が増し、苦手だと血流量が落ちるそうです。そのため朝の勉強前に有酸素運動を行い、脳の血流量を増やした状態で苦手な科目に取り組むといった方法が効果的だそうで、アメリカの高校での取り組みが取り上げられています。もし興味があれば読んでみるのもいいでしょう。

<問い合わせ>
Bring Up Rugby Academy
ブリングアップ ラグビーアカデミー静岡校
詳しくはこちらまで!:https://www.bu-as.com/

悩める皆様からの質問を受け付けております。こちらよりご応募ください。

 

第一回 どうすれば「ゲーム」に勝てる?

第二回 「コーチ1分ください」 集団で考える、学ぶ

第三回 やさしくなると、プレイが変わる

第四回 大きな怪我をしないために

第五回 親がどこまで口を出すべきか ~スポーツと親子関係~

第六回 コロナ禍での練習制限をプラスに考える 

第七回 スポーツやトレーニング後のリカバリーについて 


<プロフィール>
小野澤 宏時(おのざわ ひろとき) 静岡県島田市金谷町出身。1978年生まれ。元ラグビー日本代表。静岡聖光学院中等部、高等部、中央大学を経て、トップリーグではサントリーサンゴリアス、キヤノンイーグルスに所属。日本代表キャップ数(出場回数)81は歴代2位。名ウィングとして「うなぎステップ」を武器に代表戦55トライ。現役時代から教育に興味があり教員免許を取得後、筑波大学大学院へ進学、その後日本体育大学の修士課程から博士課程に進み、教育、指導に関する研究に携わる。2018年よりBring Up Rugby Academyコーチ。2019年より、静岡初の女子7人制ラグビーチーム「アザレア・セブン」監督。他、大学講師など多方面で活躍中。

 

おすすめの記事

関連記事