Go For It ! 須藤駿介氏インタビュー

2022/10/20 サッカー ,スペシャルインタビューサッカー,インタビュー,静岡学園,須藤駿介,アナウンサー,静岡第一テレビ

好きなことをやり続けた経験が、自分が立ち戻れる場所になる。

静岡第一テレビアナウンサー　須藤駿介氏

5歳からサッカーを始め、大学卒業までの17年間、私の学生時代はサッカー一色でした。プロを目指し、U17日本代表にも選ばれましたが、大学では芽が出ず断念。小さい頃からの夢は叶いませんでしたが、自分のサッカー人生に悔いはありません。あるのは、やり切った充実感と、アナウンサーという新たな世界で必死にもがきながら頑張る、今の自分を作ってくれたサッカーへの感謝です。

小学生の頃は、特に目立った活躍もなく、身長も、足の速さも普通、“ザ平均”の選手でした。私がいた中田スポーツ少年団は、東海で2位になるほどの強豪チームで、周りのレベルに必死に食らいつく毎日。それでも、キックやボールコントロールには自信がありました。格上の相手と対峙するのが楽しく、1対1の勝負が大好きで、成功する度に少しずつ自信をつけていきました。

大きな転機は、小学6年生の時の挫折です。エスパルスのジュニアユースに行きたかった私は、五次面接までクリアするも最終で落選。本当に悔しくて、泣き崩れたのを今でも覚えています。「中学で絶対に見返してやる」と、それが中高で頑張る原動力になりました。進学先の静岡学園は、練習が厳しく、先輩たちも怖かったですが、テクニックを突き詰めるならここしかないと決めました。でも、私たちの学年から受験に合格しないと入学できなくなって。勉強は得意ではありませんでしたが、必死に勉強して、奇跡的に受かりました(笑)。精鋭が揃う1学年上は全中優勝、私たちは中体連県ベスト4が最高。当時は負けたら走ると決まっていて、中学3年間は走ってばかりいました。

自主練では徹底してボールコントロールを磨きました。ボールを奪われない、局面を打開するボールタッチ、キックの正確さなど、ボランチに求められる技術を身につけ、エスパルスジュニアユースと対戦しても、個では負けない自信がありました。チームが勝てないもどかしさはあっても、「自分の選択は間違っていなかった」と思いました。

高校に上がると、全国からサッカーエリートたちが50人近く入り、中学組のレギュラーは無理と言われました。それが悔しくて、「俺はこれだけ上手いんだぞ」と見せつけるようにやってましたね。実際に1対1でも負けず、ここで自信が確信に変わりました。2年生から徐々に試合に出るようになり、3年生でレギュラー入り、U17日本代表にも選ばれました。小学生時代の“ザ平均”だった自分からは、全く想像できなかったことです。

U17日本代表では、現在プロで活躍する選手たちと一緒でした。鹿島アントラーズの三竿健斗選手とボランチのポジションを争いましたが、最終的には残ることができず。プロになった選手たちは、体のケアから食事まで徹底し、自分の甘さを痛感しました。大学でもプロを目指しましたが断念。当時は悔しかったですが、今は挫折もひとつの経験だと言えます。必死に打ち込んできたからこそ限界を知ることができたし、挫折できるほど熱くなれたサッカーに出会えたのは、私にとって大きな財産です。

振り返ると、一つのことを本当に一生懸命やり続けてきたなと思います。気がつけば自主練してました。好きだから、それだけ熱中できたのでしょう。ジュニアアスリートの皆さんには、スポーツだけでなく、遊びでも勉強でも、自分の好きな分野を、とことんやり続けてほしいと思います。それが一つの軸になり、武器になり、自分が立ち戻れる場所になります。一生懸命やるから出会える何かが必ずあります。

私の好きな言葉は「一意専心」。中学時代の恩師、岡島監督にいただいた言葉で、「一つのことをやり続けろ！」、わき目もふらず一つのことに集中することをたとえる言葉です。それはそのまま、自分のモットーであり、強みになりました。アナウンサーになった今も、そこは一切ブレません。現在、2つの番組を担当していますが、周りは凄い先輩ばかり、毎回必死です。今は先のことを考える余裕はありません。小学生時代、サッカーが上手い先輩たちに必死に食らいついていた頃と同じです。

静岡第一テレビアナウンサー
須藤駿介氏

1996年生まれ。26歳。静岡市出身。5歳からサッカーを始め、静岡学園中学、高校にて、主にボランチとして活躍。高校3年時にはU17日本代表に選出。早稲田大学進学後はレギュラーに定着できず、プロ入りを断念。2018年、静岡第一テレビ入社。現在、アナウンサーとして、生放送情報番組「Dstyle」(毎週金曜10：30～)、「まるごと」の一部コーナーを担当する若手のホープ。