成長期のお子さんにとって「食事量を落さないこと」 「食べる内容とタイミング」が疲労回復においても大事なポイントと お伝えしてきました。今回は、これまでのおさらいも含めて、 疲労回復に適した食事についてまとめてご紹介します。

中野ヤスコの「食事と栄養の基礎知識」

原因の大半はエネルギー不足。
まずは糖質(炭水化物)を摂る。

エネルギーとは、人間が体を動かす上で必要な活動の源、クルマで言うガソリンです。ガソリンが無くなればクルマは走れません。人間の体も同じ。「もう疲れて、体が動かない!」は、エネルギーを使い果たしたガス欠状態です。そのエネルギーの元になるのが、三大栄養素の炭水化物、タンパク質、脂質。中でも炭水化物に含まれる糖質が一番のエネルギー源です。前回、糖質重視の補食を練習前後にと言った通り、エネルギー消費に応じたガソリン補充(炭水化物の摂取)が、疲労回復の重要な要素になります。

糖質がエネルギーに変わる仕組みは?
なぜ?を知ることで意識が変わる。

少し難しい話になりますが、食事を通して摂取した糖質は、消化器官を経てブドウ糖などに分解され、血液と共に全身に行き渡り、エネルギー源となります。そして残った糖質は形を変えて、筋肉や肝臓に燃料として貯蓄される。これが、一度は耳にしたことがある「グリコーゲン」です。筋肉に蓄えられるのが「筋グリコーゲン」。これを練習などで使い果たし、その状態を放置しておくと疲労が貯まります。ですから、筋グリコーゲンを常に回復させるために、出来るだけ早い糖質補給が必要という訳です。野菜やタンパク質も大事ですが、まずは糖質。おにぎり半分でも、エネルギーゼリー、オレンジジュースでも、何か口に入れておくことが疲労回復には効果的です。

くるみキッチンにて提供している「食トレ弁当」
スポーツチームからの依頼が多い。

疲労回復に欠かせないビタミンB群。
糖質をエネルギーに変える代表格。

前々回の「成長期に必要な栄養素」でビタミンB1の話をしました。B1を含むビタミンB群というのが、体に入れた三大栄養素(糖質・脂質・タンパク質)を上手にエネルギーに変える大きな役割を担っています。これが不足すると、糖質がエネルギーに変換されにくくなり、エネルギー不足=疲労が貯まる要因になります。ビタミンB群は、動物性タンパク質に多く含まれるので、肉や魚をしっかり食べることで、傷ついた筋肉の回復と共に、疲労回復にも繋がります。
疲労回復に大事なのは、まずエネルギー不足を解消する食事をすることですが、疲労回復に効果のある栄養素は他にもあります。
・ビタミンC(レモン、キウイ等の果物、ピーマン、ブロッコリー等の野菜)
・クエン酸(梅干し、酢の物、キムチ、トマト等)栄養素以外で大事な要素となるものは…
・睡眠の量と質
・運動後のストレッチ など
「疲れて練習も勉強にも身に入らない」なんて言わないために、しっかりとした知識を身につけて、普段の食事や生活習慣を自分自身で見直してみましょう。
次回は、「貧血防止」をテーマにお届けします。 お楽しみに。


<プロフィール>
中野 ヤスコ(なかの やすこ)
日本スポーツ協会公認スポーツ栄養士・管理栄養士・調理師
㈱食の学び舎くるみ代表取締役 「くるみキッチンプラス」オーナー
プロアスリートとの個人契約、藤枝東高サッカー部、藤枝東FC(小・中学生)、プロバスケットボールチーム「ベルテックス静岡」等。静岡市内だと、静岡学園卓球部、東海大静岡翔洋ラグビー部のサポートなど数多くの地元チームやジュニア選手への、食事提供や栄養指導も定期的に行っている。高1、高3男児の母。

公認スポーツ栄養士中野ヤスコ

くるみキッチン 

中野ヤスコ ユーチューブチャンネルはこちら。

アスレシピ
中野先生も執筆している「アスレシピ」には、筋力アップ、疲労回復などの目的別、スポーツ別や栄養素別のレシピが数多く掲載されている。その他、コラムやママ特派員の投稿には、Jrアスリート世代の食に関する悩みを解決するヒントもある。

 

おすすめの記事

関連記事