夢を追え! 長田 きみの 氏 インタビュー

「できるできない」より、「やるかやらないか」

株式会社セイセイサーバー
代表取締役社長

長田 きみの 氏

本当は、自分が球児になりたかった。

福島に住んでいた中学生の頃、同居していた2歳下の従兄弟が野球をやっていたんです。週末になると親戚一同で彼の応援に出掛け、そこで野球のルールを覚え、ゲームの面白さ、勝負に勝つことの楽しさを知りました。中学3年で静岡に帰ってからも、自ら進んで夏の大会を見に行きました。球場に響く歓声や選手の声、「この試合に負けたら次がない」という緊張感、その場でしか体感できないドラマや熱気を味わいたくて……。本当は自分自身でプレーしたかったんです。けれど、当時の静岡には女子が野球できる環境はありませんでした。そこで静岡西高に入学後、直ぐに野球部の顧問を訪ねて「マネージャーをやりたい」と志願。高校時代は部活に没頭しました。ノックの時のボール渡しや、ボール拾いといったサポートが主な役割です。飛んでくるボールに当たってはよくアザを作り、朝練のためまだ暗い時間に家を出て、遠い学校まで自転車で走りました。けれど、一度も苦労と思ったことはありませんでした。マネージャーは裏方で、選手のサポート役です。私は今も当時と変わらず、従業員が幸せな人生を送れるように、そのサポート役として存在すると思っています。

できない言い訳をする前に、
まずは挑戦!

マネージャー時代の経験が、その後の人生に役立ったことはたくさんあります。当時、野球部の練習には毎日OBが付き合ってくださり、人を育てるには指導する者が一緒に汗をかくことが必要だと知りました。当時の指導者の様子から、人と目線を合わせ、相手の立場に立つことの大切さも学びました。また、強い相手を目の前にした時、人は勝てない言い訳を無意識に探してしまうものです。けれど、どうしたら勝てるかと戦略を練る方がはるかに大事だと気づきました。私たちの会社では、ホテルのベッドメイキング事業も行っています。利益率が低く、積極的な業者も少ないのですが、ある日東京から仕事の依頼があったんです。遠方で更なる苦労が予想され、断る方が楽でしたが、「まずはやってみよう」と試行錯誤を繰り返し、会社の売上の2割までに成長させることができました。マネージャー時代に感じた、「工夫しながら挑戦することが大事だ」という気づきが、仕事に生かされた一例と言えます。私にとって野球は、たくさんの思い出と、人としての成長の機会を与えてくれたかけがえのない存在です。


株式会社セイセイサーバー 
代表取締役社長

長田 きみの 氏

1973年生まれ。静岡市駿河区出身。静岡県立静岡西高等学校 野球部にて3年間マネージャーを務める。地元の短期大学を卒業後、静岡県内のテレビ局での勤務経験などを経て、2014年、家業である株式会社セイセイサーバーに入社。2017年4月より、同社代表取締役社長に就任。昭和40年創業の同社は、「掃除は心である」を社訓にビルの衛生管理等を手掛け、その強い社会貢献意欲から高齢者や障がい者の就労を支援し、グループ総従業員数は1000人を超える。

おすすめの記事

関連記事