夢を追え! 松下勝実 氏 インタビュー

「自分でやり切ったと思える高校時代を」

東海溶材株式会社
代表取締役社長

松下 勝実 氏

母校のため、仲間のため。
勇気や力をもらった学生野球。

私が学生野球に没頭していたのは、今から50年以上前です。当時は、野球で勝つのは全て母校のためというのが当たり前でした。自分のためだけなら妥協したり諦めたりすることも、母校の勝利のために大きな勇気をもらったり、普段以上の力を出せたり、それが学生野球の良い所だと思います。時代は変わっても、仲間のため、先輩や後輩のため、自分以外のためだから頑張れたという経験はきっとあるでしょう。私の母校、清水東高校は甲子園常連校ではありませんでしたが、2年の春は東海大会に進み、1回戦で優勝した愛知のチームに延長戦で敗れ選抜候補になるも不選出、3年の夏は決勝で浜松商業に1対0で敗戦。甲子園まであと一歩でしたが、悔しさよりも、多くの真剣勝負を経験し、いい思い出ができた喜びの方が大きかったです。高校の3年間は一度きり。後悔だけは残さないように、自分がやり切ったと思えるまで今できることを精一杯頑張って、次のステップに進んでほしいと思います。

勝ち負けで一喜一憂しない。
何を追い求めていくかが大事。

野球からは、継続して自分の能力を高めていくことの大切さも学びました。野球人は打率などの数字で評価されます。3打数1安打であれば強打者、究極には8回空振りしても最後の1振りでヒットを打てばいいのです。失投を逃さず打つ、精度の高い野球技術を追い求め、目の前の勝ち負けで一喜一憂しないこと。そうでないと身も心も持ちません。現在は社長業をしておりますが、増収増益の時もあれば、減収減益の時もあります。評価は甘んじて受けますが、追い求めているのは、お客様、仕入れ先、社員を大事に、みんなに幸せになってもらうこと。そのために、やれるだけのことを精一杯やる、それだけです。
社会人野球以降、野球からは遠ざかっていましたが、縁あって2018年から、「大学野球オータムフレッシュリーグ」を始めました。それまで静岡では東京6大学の野球を見る機会はなく、地元の大学生や高校生と試合できれば「みんなが喜ぶだろう」、その一心でした。静岡市のバックアップもあり、お陰様で今年で5回目を迎えます。運営は学生たち主体で行い、今年から地元高校生も関わるようになりました。とても良い傾向です。今後もできる限り継続していきたいと思います。


東海溶材株式会社 
代表取締役社長

松下 勝実 氏

1949年生まれ。清水市(現・静岡市清水区)出身。73歳。中学から野球を始め、清水東高校ではエースとして活躍し、2年秋県準優勝、3年春県優勝、3年夏県準優勝。慶應義塾大学に進学し、2度の首位打者を獲得。4年間の社会人野球を経て、今年で創業100年を迎える家業の東海溶材株式会社に入社。2007年、4代目代表取締役社長に就任。現在、国内18拠点、国外2拠点、関連会社10社、高圧ガスをはじめ、産業機器、溶接材料等を取り扱う専門商社の経営に携わる。今年で5年目の「大学野球オータムフレッシュリーグ」発起人。

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