ジュニアアスリート のためのメディカルコラム〜子供のために大人が知っておくべきこと

大会前、熱が出たらどうする?!
「熱くらいはねのけて試合に出る、がんばって活躍する」。カッコいい響きがありますが、本人は満足でも、チームメートや対戦相手、周囲のスタッフが、病気をうつされて大変な思いをするかもしれません。そう考えると、単なる身勝手な振る舞いです。
コロナの時代となって、「熱くらい」という考え方は禁物と、皆が気づき始めています。無症状でも周りの人にうつしてしまうこともあるコロナの特性から、症状があればなおさらのこと、特にスポーツの世界では思慮深い行動が求められます。
大会が近い、明日が試合だ、放課後にさあ練習…なのに熱が出てしまったらどうするか。まずは、健康を損ねていることを自覚して、自分のために、皆のために、試合や練習に出かけないことです。家族に、チームのスタッフや仲間に、速やかに、正直に状態を伝えます。熱以外の症状はないか、よく把握します。もし、ひどく痛い、呼吸が苦しい、意識がもうろうとするなどであれば、すぐに病院を受診します。なければあわてずにまず一日療養です。「飲めば早く治る」、そんな夢のような薬はありません。手元にある薬を自己判断で服用してはいけません。熱や頭痛に対しては、アセトアミノフェンという成分の解熱鎮痛薬が安心です。水分をよくとること、炭水化物など消化のよいものを少しずつ口にすること。コロナが特別ではありません、どんな病気にも通ずる心構えと対策です。
熱などの症状が出てから悔やむことのないよう、日頃から生活のリズムを整え、食事に気を払い、よく眠る、必要な予防接種を受ける…小さなことの積み重ねです。
もう一つ。仲間が熱を出した時、早くよくなるようにと思いやる、優しいアスリートでありたいものです。
文・田中敏博
<プロフィール>
田中敏博。静岡市葵区出身。小児科医。 静岡厚生病院小児科、勤務。 小学校から現在までバスケットボールを続ける。 (公財)日本スポーツ協会公認スポーツドクター。(一社)静岡県バスケットボール協会理事 兼、スポーツ医科学委員会委員長。
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