ジュニアアスリート のためのメディカルコラム〜子供のために大人が知っておくべきこと
スポーツのすばらしさ
オリンピックとパラリンピックの東京大会が終わりました。無観客での開催とはなりましたが、テレビ等を通じて、躍動するアスリートの力と技、輝く笑顔、悔し涙に、我々は感動を覚え、奮い立たされました。普通なら耳に届くことのないアスリートから絞り出される声や音が、会場にいるかのように迫力を増幅させてくれました。それは、1年間延期された大会に、気持ちを途切らせることなく挑んだアスリートの心の叫びのようでもありました。
何よりも、ここまでのコロナの世界的な流行と日本の夏の酷暑を考えると、健康や安全に関する大きな問題が発生することなく大会が開催されたこと自体が奇跡です。舞台裏で多くの医療関係者やスタッフが、周到に準備を重ね、サポートに奔走していたことと想像します。アスリートが感謝の言葉を口にする場面をよく目にしました。自身のパフォーマンスへの支えもさることながら、この環境の中でパフォーマンスを発揮する場を与えてくれたこと、それを支えてくれたことへの思いも含まれていたのではないでしょうか。
境遇や身体的条件によらず誰もがアスリートになれる、目標に向かって一生懸命になれる、そんなスポーツのすばらしさを、東京大会は再認識させてくれました。金メダリストはたった一人ですが、スポーツをしている人は皆メダリスト候補です。健康な人がスポーツをする、というよりも、スポーツをすること、トライすることそのものが、からだと心が健康な証ではないでしょうか。
皆さんがスポーツを楽しむ、元気にからだを動かす、そのお手伝い、サポートが、これからもできたらよいなと思います。
文・田中敏博
<プロフィール>
田中敏博。静岡市葵区出身。小児科医。 静岡厚生病院小児科、勤務。 小学校から現在までバスケットボールを続ける。 (公財)日本スポーツ協会公認スポーツドクター。(一社)静岡県バスケットボール協会理事 兼、スポーツ医科学委員会委員長。