ジュニアアスリート のためのメディカルコラム〜子供のために大人が知っておくべきこと

からだの働きを知ってケガに対処

 スポーツにケガはつきものですが、予防に努めつつ、ケガをしてしまっても早く後遺症なく治したいところです。

 打撲や捻挫では腫れてズキズキしてきます。ダメージを察知したからだの働きにより、修復しようとその部位周辺の血液の巡りがよくなるためです。その部分の安静を保って適度に冷やして痛みを和らげます。入浴は血液の巡りをよくし過ぎて痛みを強めるので、しばらくは慎重に。

 頭の打撲では、頭痛のほか、吐き気やおかしな言動がないか、24時間程度よく観察します。手足の打撲や捻挫では、腫れ方や痛みの程度によって骨折や靭帯損傷の可能性も考えます。

 肘や膝などが当たっての頭や顔面の切り傷は、まず圧迫しつつ適度に冷やして血管を締め、出血や腫れを最小限にします。傷の場所や切れ方、長さや深さによって、テープ固定にするのか縫い合わせるのか、判断されます。

 屋外、特に土のグラウンドでできた擦り傷は、昔なら“赤チン”の出番でした! 今は、流しっぱなしにした水道水でまずよく洗います。汚れた切り傷の場合、縫い合わせることは第一選択ではありません。汚れの程度により消毒や抗菌薬の服用も考慮されます。破傷風対策になる三種混合(DPT)/二種混合(DT)ワクチンの定期接種を受けていない子はほとんどいませんが、未接種ならば破傷風の予防接種が必要です。

 切り傷や擦り傷。以前は毎日消毒してガーゼを交換しましたが、今は治る様子を極力見守ります。問題があれば、腫れや赤み、ズキンズキンと痛みが悪化して、からだからのお知らせがあります。

ケガを賢く乗り越えるための近道は、治るためのからだの働きをよく理解することです。

文・田中敏博

 


<プロフィール>
田中敏博。静岡市葵区出身。小児科医。 静岡厚生病院小児科、勤務。 小学校から現在までバスケットボールを続ける。 (公財)日本スポーツ協会公認スポーツドクター。(一社)静岡県バスケットボール協会理事 兼、スポーツ医科学委員会委員長。

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