カゼ対策と気合い

子供のために大人が知っておくべきこと
カゼ対策と気合い
選手としてスポーツに取り組んでいた30年以上前、健康を維持するための最大の武器は〝気合い〞でした。「大会前にカゼをひかないように気合いを入れろ」「ケガをしないように気合いを抜くな」という具合です。顔面を強打して出血した先輩は、「気合いが足りないから血が止まらないんだ!」と先生に怒られていました。
コロナの患者が増加し、インフルエンザの流行との2本立てとなることが心配されるこの冬に向けて、アスリートにも様々なカゼ対策が求められています。手洗いや換気などの基本はとても大切、是非励行しましょう。給水用の容器のマイボトル化も確実に。
〝気合い〞にも実は科学的な意味があります。精神の緊張の度合いは自律神経を介してバイ菌と闘う力に関係しますので、昔のアスリートを決して笑いものにはできないのです。
ただし、アスリートに必要な〝気合い〞を取り違えてはいけません。「カゼ気味でも気合いで練習に出る」「高熱を薬で下げて最後まで気合いでプレー」など、感動的な話に聞こえなくもありません。しかしこれらは、よいプレーにつながらないことはもちろん、自分自身の健康を損なうだけでなく仲間も巻き込んで感染を拡大させてしまう危険性が高く、最も慎むべき行動です。アスリートこそ陥りやすい落とし穴と言えますね。
どんなに対策をしても、どんなに気合いを入れても、カゼをひいてしまうことはあります。そんな時、体調の異変を速やかに感知する、感知したら早く治すため、そして周囲に広げないために、〝気合い〞で療養に専念する。それができることが、一流のアスリートへの第一歩です!
文・田中敏博
<プロフィール>
田中敏博。静岡市葵区出身。小児科医。 静岡厚生病院小児科、勤務。 小学校から現在までバスケットボールを続ける。 (公財)日本スポーツ協会公認スポーツドクター。(一社)静岡県バスケットボール協会理事 兼、スポーツ医科学委員会委員長。
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