取材当時(4月)の部員数は8人。部員不足で試合ができないもどかしさも、少人数で培う団結力。仲間のために役に立つ。「SHARKS」と共に、全員が同じスタートラインから成長する日々。

清水国際高等学校
アメリカンフットボール部

アメリカンフットボールを高校から。清水国際高校は1995年にアメフト部「SHARKS」を創部し、過去に全国ベスト8の実績を持つ。現在は少ない部員数ながら、新入生の入部を信じて日々努力を重ねる姿が凛々しかった。

県内高校チームは2校のみ。ライバル校に「一騎当千」で挑む。

日本では大学スポーツの印象が強く、地方の高校では特に希少なアメリカンフットボール部。県内には同校と知徳高校(長泉町)の2校にしかない。同競技は攻守で選手が入れ替わりフィールドプレーヤーは11人。各々役割が異なり22人は必要とされるが、同部は部員20人以下でも、倍以上の人数がいるライバル校と全国切符を争い、勝利も手にしてきた。スローガンは「一騎当千」。一人の騎兵で千人を相手にできる勇者のたとえだ。現在の部員は3年生4人、2年生2人の6名。試合出場可能な11人にも満たない状況だが、その思いは変わらない。1年生時にまず自分のポジション、2年で2つ、3年で3つの複数ポジションをこなせるよう知識と技術を磨く。ラインとキッカーを務めるキャプテンの山下煌平(3年)は「試合ができないもどかしさは正直ある。それでも目標は知徳に勝って全国大会出場」と前を向く。1年生が5人以上入れば秋の大会に挑む覚悟だ。

全員が同じスタートライン。様々な役割を担い成長を実感。

「アメフトは全員スタートラインが一緒だから」。チームの司令塔QBを担う野寄駿平(3年)は、経験に左右されず自分の努力次第で強くなれる競技への挑戦を選んだ。1年生の時はわけもわからず、先輩や先生に教わり努力する毎日。人数が少ない分、一人一人丁寧に教えてもらえ、複数ポジションの技術を高める環境がある。顧問6年目の宇佐見先生は日体大アメフト部出身だ。「アメフトは一人ではできない。一人一人が責任感を持って、仲間のためにどれだけ動けるか。競技を通じて周りに信頼される人間になってほしい」と次につながる指導を重視。答えを簡単に与えず、選手が自ら考え行動するよう促し、成長できる機会を用意する。選手が最も刺激を受けるのが、年に数回参加する大学での合同練習。早稲田大学や日本大学で、関東の高校チームと一緒に行う。「自分と全国のレベルの違いを実感できチームの課題も見えてくる」、「同じ年でも凄いやつがいて自分も頑張ろうと思う」など、試合ができずともモチベーションを維持できている。2人の女子マネージャーは練習サポートにフル活動。合同練習の様子を動画撮影し、将来役に立つよう資料としてまとめる役割も担う。全員がゼロから始めたスポーツで、みんなが力を合わせてチームと共に成長していく。「3年生になって、自分がやってきたことの積み重ねを実感できる」と野寄。試合の勝ち負けだけが部活ではない。「SHARKS」で磨いた人間力は将来必ず生きてくる。


キャプテン オフェンスライン
山下 煌平(やました こうへい)
YAMASHITA Kohei


清水第八中学校出身。小学校1年生からサッカーを始め、体の大きさを生かした新スポーツに挑戦しようと同部へ。パワー勝負のラインで自分より大きな相手に勝つ技術を磨き、サッカーで培ったキック力を武器にパンターも務める。173㎝、92㎏。


クォーターバック
野寄 駿平(のより しゅんぺい)
NOYORI Shunpei


末広中学校出身。中学時代はテニスとサッカー。1年生後半からQBを務め、ランニングバックなども経験し、ボールを保持して走るプレーを得意とする。チームの役に立ち賞賛されるアメフトが大好きで、卒業後も競技を続ける予定。179㎝、90㎏。

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