まず“よく見える”ように!
子供のために大人が知っておくべきこと
まず“よく見える”ように!
小学生の頃は視力検査で2・0が自慢だったのですが、高校生で黒板の文字がぼやけるのでメガネを掛けざるを得なくなり、大学生で相手選手の背番号が見えなくなってコンタクトレンズを作り、納得を拒んできたもののついに老眼鏡のお世話になる年齢になってしまいました。見えることのありがたさが身に染みる今日この頃です。
広い視野、ノールックパス、アイコンタクト、などなど、スポーツの世界で眼の果たす役割の重要性は明らかです。競技力向上のため、眼やそれに関連した様々な機能をトレーニングする方法が紹介されています。しかし、とにもかくにもまずは見たものの正しい情報が正しく眼に入らなくては何も始まりません。
公認スポーツドクターの眼科医、枝川宏先生(えだがわ眼科クリニック)が、おもしろい研究をしています。装用するコンタクトレンズの度数を調整して選手の視力を何段階かに設定し、バスケットのシュートや野球のバッティングなどの成功率を評価しました。どの競技でも視力を1・2に調整した時に最も高いパフォーマンスが発揮されたのです(「スポーツパフォーマンスと視覚」日本スポーツ視覚研究会【編】)。
つまり、いろいろな方法でスポーツにおける眼の働きを高めようとする、それを高いパフォーマンスにつなげようとすることはよいのだけれども、まずは普通にものを見る力=視力が適正であることが基本、というわけです。”よく見える“状態にするために、必要であればメガネやコンタクトレンズを用いて調整すること(視力の矯正と言います)が大切です。
眼科やメガネ屋さんに行く間も惜しんで練習するよりも、よく見えるよう準備を整える方が、明日の勝利も鮮明に見えてくるはずです!
文・田中敏博
<プロフィール>
田中敏博。静岡市葵区出身。小児科医。 静岡厚生病院小児科、勤務。 小学校から現在までバスケットボールを続ける。 (公財)日本スポーツ協会公認スポーツドクター。(一社)静岡県バスケットボール協会理事 兼、スポーツ医科学委員会委員長。
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