女子団体新人戦東海大会出場。「元気ならどこにも負けない」
常葉大学附属橘高等学校
剣道部
昭和39年創部の橘高校剣道部は、過去に男子団体で2度の全国大会出場を遂げた古豪だ。近年は部員数が減少し、県大会勝利から遠ざかっていた女子団体が新人戦東海大会出場を決めた。復活の狼煙を上げた強さの秘密、その魅力とは。過去の高校チーム紹介はこちら
戦う心を忘れず強い思いを。部員3名の4年前から急成長。
校内の剣道場に男女15名の元気な声がこだまする。同校剣道部出身の有賀先生が赴任した4年前には部員が3人だったとは思えない活気がある。現在(取材当時/2024年2月)部員は、男子が2年生4人、1年生1人、女子が2年生2人、1年生7人に中学生1人。初心者歓迎で、女子1年の内2人は未経験だ。代々伝わる部訓「戦心思力」は、「思いがなければ達成できない。戦う心を忘れずに」を意味する。掲示された「行くぜ!東海大会」の上には”ぜったい”と書き加えてあり、その強い思いが目標達成につながった。指導歴15年の有賀先生は「数をこなすだけの練習ではなく、どうすれば強くなるかを考えた稽古を」と部員に伝え、「やらされている内は強くならない」と主体性を重視。基本動作を徹底する一方、毎回10分を1~2セット、2~3人一組で各自の課題に向き合う時間を設ける。内容は男女同じ、試合形式の練習では普通に打ち合う。厳しい上下関係を好まず、準備も掃除も、先輩・後輩の区別はない。こうした指導が、男女の仲が良く、部全体が明るい一体感を生んでいる。
部の中心は剣道3段の5人。男子は新人戦県大会出場まであと一勝だった松井信司(2年)。女子は主将の青木美都(2年)、副将の大倉柚姫(2年)、1年生の金子桃子、海野里奈の4人が揃って、新人戦県大会に進出。青木と海野は中等部から同部で腕を磨いてきた。この4年間、県では一勝もできなかった女子団体は、昨年11月の大会で初勝利し県ベスト16、1月には県ベスト8と躍進した。
大親友で良きライバル。2人の元気がチームを牽引。
部をリードするのは青木主将と大倉副将。有賀先生は「明るくパンチ力のある2人を中心に取り組み姿勢がいい」と称える。2人は昨年の総体団体戦県大会初戦敗退の後、「まずは元気から」と誓い合い、大きな声でチームを盛り上げてきた。青木について「みんなが落ち込んでいる時も仲間を鼓舞し、部に欠かせない憧れの存在」と言う大倉に対し、青木は「私が不安な時は一番に寄り添い、声を掛けてくれる大親友」と絶大の信頼を寄せる。その2人が、新人戦では県ベスト8をかけ対戦。試合は延長戦の末、大倉が勝利した。大接戦を振り返る青木は「今までの剣道人生の試合で一番楽しかった」と清々しい。互いに「運命の出会い」というほど仲の良い2人だが、稽古中は真剣そのもの。2人の元気、オンとオフの切り替えがチームに伝播し、勢いを与えている。
部の目標は男女ともに県大会上位進出、東海大会、全国大会出場だ。青木が「元気ならどこにも負けません」と言えば、「絶対に勝ちます」と意気込む大倉。戦うことを忘れない、2人の強い思いがあれば達成も夢ではない。
主将
青木 美都(あおき みと)
AOKI Mito
小学5年生から剣道を始め、橘中学では学年唯一の剣道部員として県ベスト16。小手面を得意とし、今年の新人大会個人戦県ベスト16。「仲間と一緒に辛いことを乗り越えることが喜び」と、持ち前の明るさで男女部員を引っ張る頼りになるリーダー。個人戦では高校最後の総体で県ベスト4、東海総体出場を目指す。
副将
大倉 柚姫(おおくら ゆずき)
OKURA Yuzuki
服織中学剣道部出身。中学から剣道を始め、有賀先生の指導を受けようと同校に進学。小手を得意とし、今年の新人大会個人戦県ベスト8。 主将を支えながらチームに元気を与える熱き副将。総体団体戦に向け「まだ勝利のない静岡翔洋に勝って全国に行きます。打倒・翔洋!」と力を込める。個人目標は自己最高の県ベスト4。