中高6年間で育む「疾風怒涛」ラグビー。自由に、激しく、勢いよく。ボールを集団で運ぶラグビー本来の面白さを発見して、個人の判断能力を磨く。
静岡県立清水南高等学校
ラグビー部
過去には花園に13回出場した清水南高ラグビー部。近年は単独チームを組めないことも多かった古豪が、復活の狼煙を上げつつある。公立中高一貫校の同部が目指すラグビーとは?監督、選手に話を聞いた。
昨年より静岡ブルーレヴズと連携。自由で楽しいラグビーを地域と共に。
昨秋の全国高校ラグビー静岡県予選、清水南高が久しぶりに名を連ねた。3学年で15人揃い、初戦で聖光学院に敗れたが、強豪校相手に5得点をあげた。3年生が卒部した新人戦には5校の合同チームとして参戦。3年生3人、2年生3人が出場し県準優勝、東海大会進出を決めた。
現在の部員数は、高等部男子11名、女子2名、中等部男子21名、女子2名の36名。練習は全員一緒に行う。就任3年目の村上監督が目指すのは、ボールを持つ選手が自由に動き、周りがサポートする、自由奔放なラグビーだ。練習には遊びの要素を取り入れ、例えばラグビーボールでサッカー、ボール運びゲームなど、教えるよりも、ボールを集団で運ぶラグビー本来の面白さ、本質を発見することで、個人の判断能力を磨く。ラグビー歴11年の副将、日野坪俊亮(2年)は「ルールに縛られない、一人一人がのびのびプレーできる環境がある」と話す。学年間の壁がなく、中学生が高校生にダメ出しすることもあるという。新たな取組にも積極的だ。昨年4月から静岡ブルーレヴズのコーチを招き、週1回、地域の子どもたちと一緒に指導を受ける。7月には二者間で協定を結び、地域スポーツとしてラグビーの活性化を図る。「小中学生は誰でも参加できる。ラグビーを通じて子どもが成長し、親が喜び、地域が幸せになれば」と村上監督。日野坪は「実践的なコンタクト練習を重ねチームレベルがあがった」と喜ぶ。清水南からラグビー熱が地域に芽吹きつつある。
自由奔放に「バチバチ」をプラス。目標はシード校を倒し県ベスト4。
チームが目指すのは、速くて激しく勢いのある、戦国時代に少数精鋭ながら勢いよく破竹の戦歴を重ねた上杉謙信を表現する「疾風怒涛」のラグビー。その中心となるのが、快速ウイングのキャプテン松本零矢(2年)とタックルに強いナンバー8の日野坪だ。春から中3の8人が加わり19人、再び単独チームとして大会に挑む。目標は秋の花園予選でシード校を倒し県ベスト4だが、最上級生3人で強豪校に勝つのは簡単ではない。部員同士の仲が良く、優しいチームに「絶対に倒してやるという強い気持ちが必要」という松本は、今年の筑波大学ラグビー部のスローガン「バチバチ」をよく使う。個の判断で自由に動き回るラグビーに泥臭さをプラスすれば勝機が見えてくるからだ。
中学から6年間でラグビーを楽しみ磨く個の判断力、トップチームの指導者から学ぶ実戦で生きるコンタクト力、絶対に負けないという強い気持ちの「バチバチ」が融合した時、清水南が目指す「疾風怒涛」ラグビーの花が開く。昨年の県ベスト4には、静岡翔洋、聖光学院、科学技術、市内3校が入った。ここに清水南が加われば、静岡の高校ラグビーが更に面白くなる。今年はラグビーW杯も開催される。ラグビーが熱い1年になりそうだ。
キャプテン ウイング
松本 零矢(まつもと れいや)
MATSUMOTO Reiya
富士市出身。年少から小6までサッカー、清水南中等部に進学しラグビー部へ。50m5秒9の俊足、高校から鍛えたフィジカルの強さを武器に、スピードとパワープレーでディフェンスラインを突破する攻撃の要。昨春の怪我を乗り越え、高校最後の年に「県ベスト4に絶対行ってやる!」とチームを鼓舞する熱き主将。
副キャプテン ナンバー8
日野坪 俊亮(ひのつぼ しゅんすけ)
HINOTSUBO Shunsuke
静岡大学附属中学出身。小1から静岡ラグビースクールに入り、ラグビー歴は11年。タックルに絶対の自信を持ち、守備でも攻撃でもチームの起点となる中心選手。「今後もシード校になり続けられるように、いい形で後輩たちにつなげたい」と、高校総体、花園予選での県ベスト4進出に闘志を燃やす。
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