部員同士が教え合う、「弓友皆師」がつなぐ絆。部員は仲間であり師匠だ。 目標は「正射必中」正しく引いた矢は必ず当たる、コツコツ努力をすれば必ず報われる。

静岡県立駿河総合高等学校
弓道部
2022年の夏、駿河総合高校弓道部の小泉花帆(3年)が全国高校総体に出場し、決勝進出を果たした。団体の全国大会出場歴もある同部には、強豪校のイメージとは少し違う、指導者の檄が飛ばない、和やかな雰囲気と生徒主体の練習風景があった。

恩師から生徒に引き継ぐ、豊かな人間性を育む部活動。
3年が卒部し、新チームの部員が掲げた目標は前期同様「正射必中」だった。正しく引いた矢は必ず当たるという、同部の基礎を築いた前々顧問の吉岡先生が残した言葉で、コツコツ努力をすれば必ず報われるという意味が込められている。今年で顧問2年目の青嶋一浩先生にとって、吉岡先生は全国大会出場した静岡東高弓道部時代の恩師。その教えを引き継ぐ同部最大の強みは、部員同士が教え合う、「弓友皆師」だ。弓道は、射型を自分で見ることができない。仲間が正しい形を指導することで、必要な知識を判断する力や、他者に伝える力を養う。新部長の磯部孝介(2年)は「今年から、他校の教え合いの良さを取り入れ、教える役割を決めています」と弓友皆師を極める。直接指導は極力控えるという青嶋先生は「部員は仲間であり師匠。卒業後も、仲間が道を外しそうになった時にも言い合える友達であってほしい」と願う。これは、同部の活動指針「豊かな人間性を育む持続可能な部活動」の中にある11項目の中のひとつ。他にも「弓道を通じて礼儀作法を学ぶ」「結果だけを求める部活動にしない」「誰が顧問になっても部が続くよう、生徒ができる活動は生徒でできるように」などの言葉が並ぶ。恩師から顧問へ、そして生徒へ、駿河総合高校弓道部の目指す型が引き継がれている。

尊重する多様性と自主性。土日は休み、自主練は自由。
部員は、2年生男子15名、女子5名、1年生 41名の全61名。ほとんどが初心者だが、弓道には団体戦と個人戦があり、全員が公式戦に出場する。部員には、全国を目指す子もいれば、バレエや習字などの習い事や勉強を優先する子、総合学科でSDGsの活動に関わる生徒もいる。練習を休む理由は「家の都合」程度でよく、強制はしない。「部活が一番でなくてもいい。弓道をやりたい子は誰でも受け入れる」という青嶋先生は、弓道だけでなく、多彩な人間になってほしいと願う。それは、駿河総合高校が目指す姿でもある。部活以外を優先できるよう、土日祝の練習は基本休みで、朝練習もない。それでも、強くなりたい部員には自主練を認め、道場を開放。副部長で女子団体エースの安部日捺(2年)は「弓道は自分で考え、試行錯誤して結果が出るのが面白い。部活が一番楽しい」と土日も朝も練習する。色々な部員がいて、お互いを尊重し合い、やらされ感はゼロ。部員たちの真剣かつ生き生きとした姿が印象的だった。

部長
磯部 孝介(いそべ こうすけ)
ISOBE Kousuke
大里中学出身。中学では野球部。弓道をやっていた兄の影響もあり同部へ。精神面が左右する弓道の面白さにはまり、2年生ながら今春の総体県予選で大前(一番手)を担う男子団体のエース。「もちろん全国を目指すが、結果は後からついてくる」と個人目標も正射必中。
副部長
安部 日捺(あべ かな)
ABE Kana
東豊田中学出身。見学時に感じた温かい雰囲気に惹かれ入部を決意。弓道の魅力と仲間の存在から競技に没頭し、2年生から女子団体の大落(5番手)を務めるエース。苦楽を共にした仲間と勝利を分かち合いたいと、選抜大会、インターハイの団体戦全国優勝を目指す。

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