Go For It ! 北川 航也 選手インタビュー
よく食べ、よく寝て、強いカラダを。
清水エスパルス FW #45
北川 航也 選手
私がサッカーを始めたのは5歳の時、2歳上の兄の影響です。兄と一緒に遊ぶことが多く、よく真似をしていました。もし兄が違うスポーツを選んでいたら、サッカー選手にならなかったでしょう。当時から負けず嫌いで、サッカーでもTVゲームでも、兄には絶対に負けたくないと必死だったのを覚えています。小学生の頃はとにかく、ボールに触る、蹴る、点を取るのが大好きでした。練習というより遊ぶ感覚です。練習が終わり、母親が待っていても、暗くなるまでずっとサッカーしていました。清水エスパルスの試合観戦に足を運ぶようになり、キラキラと輝く選手たちを生で観ると、「いつか自分もここでプレーしたい」という気持ちが芽生え、特にフォワードの動きを目で追っていました。エスパルスの選手は地元サッカー少年の憧れの存在でした。
自分がやりたいようにやって点を取る、そんな子でしたから、私が100%のプレーをしない時だけ叱る、ラグビー経験者の父の影響は大きかったです。上手くいかない時にプレーをやめたり、できるのにやらない部分をしっかり見ていましたから。その教えが、練習で全力を出せなければ試合でも発揮できない、毎日全力で取り組まないと先の成長はないという、今の自分の考えにつながっています。全力を出し切り、小学6年生最後の県大会で優勝した時は本当に嬉しかったです。私は小学4年生から城北SSSに移ったので、学校は別々でサッカーだけの関係でしたが、試合に勝ち続けて仲間と少しでも長く一緒にプレーしたいと頑張りました。
その頃には本気でプロを目指し、エスパルスジュニアユースのセレクションに合格。中学時代が最も成長した時期です。私は小さい頃から背が大きく、足も速かったので、1年生から上級生の試合に出させてもらいましたが、それまで身体的能力で勝負していた自分のサッカーは全く通用しませんでした。本格的な練習に取り組むのも初めてでしたし、要求レベルもどんどん高くなりました。人工芝、優秀な指導者、刺激のある仲間、サッカーが上手くなるには最高の環境でした。
中3の春、私は大きな失敗をしました。春の全国大会で上手くいかない苛立ちを審判にぶつけてしまったのです。周りには同情する人もいましたが、現在もジュニアユースを指揮する横山監督から「絶対にやってはいけないこと」と指導いただき、自分を見直すきっかけになりました。負けたくない、熱い感情はスポーツ選手にとって大事だが、その使い方を間違えてはいけない。人や物にぶつけず、自分の中でパワーに変える。夏の全国大会で優勝し、得点王とMVPを取れたのは、失敗を経験し、変われたからだと思います。頂点に立てたのは嬉しかったですが、そこで満足するチームメイトは一人もいませんでした。だから優勝できたのでしょう。もっと上を目指す仲間と、失敗と挑戦を繰り返し、多くを学んだ3年間でした。
「プロになるためには、どんなトレーニングをすればいいですか?」とよく聞かれます。ボールに触る時間が長ければ長いほど上手くなるのは当然ですが、成長期の小中学生にとって一番大事なのは食事と睡眠です。この二つが不足すると怪我をしやすくなり、成長も止めてしまいます。私は小さい頃から、いっぱい食べて、よく寝る子だったので、大きな怪我なく、中学、高校と強度が上がる練習にもついていけました。休むのも大事なトレーニングです。よく食べて、よく寝て、まずはプロでも通用する強いカラダを作ってください。
私の今の目標は、清水エスパルスがJ1でタイトルを取ることです。チームの勝利に貢献し続け、プロを目指す静岡のサッカー少年たちの目標となり、地元で育った多くの選手が活躍するエスパルスになるように、自分が持っている全てを捧げたいと思っています。まずは一年でJ1に復帰すること。苦しい戦いになるので、みなさんの応援が活力になります。一年間、共に戦いましょう。
清水エスパルス FW #45
北川 航也 選手
1996年生まれ。静岡市出身。5歳からサッカーを始め、ピュアSC、城北SSSを経て、清水エスパルスジュニアユースへ。2015年、ユースからトップチームに昇格し、FWとして活躍。2018年にリーグ戦13得点8アシストを記録。持ち前のスピードを武器に、味方を生かし、自分も生きるプレーを得意とする。U16~19の日本代表に選ばれ続け、2018年フル代表デビュー。2019年、ブンデスリーガ1部のSKラピード・ウィーンへ移籍。2022年6月、清水エスパルスに復帰。180㎝、74㎏、26歳。静岡市在住、一児の父。
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