秋、春、連続県大会出場。 過去最高県ベスト8超えへ、 チーム一丸で守り勝つ。
静岡県立静岡東高等学校 野球部
近年は県大会まであと一勝が遠かった静岡東高野球部が、新チームとなり、秋・春2大会連続で県大会進出を決めた。文武両道を掲げる公立進学校には、野球も勉強も頑張りたい生徒たちが集う。
大学進学、部活動、学校行事。文武両道の高みを目指す学園生活。
「学業と人間形成の両面において、生徒一人ひとりを大切に育てる」教育方針のもと、文武両道を基本に、勉強も部活動も学校行事も一生懸命。静岡東高校には、そんな生徒が多い。生徒実行目標は「自分に負けるな」。昨年の東京オリンピック、男子競泳4×200mリレーに出場した高橋航太郎選手は同校の卒業生だ。野球部の過去最高成績は県ベスト8。3年生9人主体で挑んだ昨夏の大会はベスト32まで進み、9人中3人が国公立大学、内1人は神戸大学に現役合格した。野球部に限らず、全国大会進出を目指す運動部、文化部でも、あくまで学業優先だ。「野球が上手ければいいという考え方は一切ありません」と戸塚哲弥監督。挨拶や整理整頓など、礼儀やマナーを大事に、野球に向き合う姿勢も妥協はしない。秋の県大会初戦は掛川東高に2対0で惜敗。今年から、空きスペースと時間を有効活用してバットを振る回数を増やし、春の中部予選初戦では16対6と藤枝西高に打ち勝った。次の島田商業戦では、チーム本来の守り勝つ野球が機能し、2対1で県大会進出を決めた。
投手は右と左の2枚看板。ミスを少なく、好機を生かす。
部員は3年生8人、2年生11人、マネージャー3人の22名。1年生12名前後が入部予定だ(※取材当時)。レギュラーはまだ固まっておらず、試合ごとに調子の良い選手を使う。「ずば抜けた選手はおらず、まだまだ発展途上です」と戸塚監督。夏に向けたレギュラー争いが、チームの底上げにつながる。投手は左の奥柿遼大(3年)、右の増井颯(2年)の2枚看板。制球力よく、打たせて取るタイプだ。島商打線を1点に抑え完投勝利をあげた増井は、ハートが強く、変化球のキレで勝負する。打の中心は、3番増井、4番奥柿、5番キャプテン鈴木大輝(3年)のクリーンナップ。好球必打でチャンスを確実に得点につなげていく。まずは守備のミスを最小限に抑え、僅差で勝ちぬく試合ができれば、チーム過去最高成績の県ベスト8超えも現実となる。「歴代のチームより技術面は劣るかもしれませんが、選手全員が自分の役割を理解し実行する、強いチームワークがあります」というファーストの鈴木主将は、練習中、1塁ベース上から誰よりも大きな声で仲間を鼓舞していた。それが自分の役割と認識しているからだ。主砲の奥柿も「ミスは全員でカバー。ベンチからの声も力になる」とチームの一体感を強調した。学年を超えて、勝利に向けて一枚岩となったチーム。今年、彼らが静岡東高野球部の歴史を塗り替えるのを見たい。
キャプテン
鈴木 大輝(すずき たいき)
SUZUKI Taiki
末広中出身。小学3年生から野球を始め、勉強も野球も頑張ろうと文武両道の東高へ。昨秋から5番ファースト、キャプテンとして「いい試合をしていても、勝敗は紙一重。普段の練習や気持ちで負けない事が大事。それが流れを引き寄せる。春はベスト8、夏は甲子園を目指します」とチームを引っ張る。
投手・センター
奥柿 遼大(おくがき りょうた)
OKUGAKI Ryota
籠上中出身。野球は小学2年生から。中学最後の夏は1勝もできず、高校でも野球を続けようと勉強と両立できる東高を選んだ。左投げ左打ち、フルスイングが持ち味の4番打者として、春の島商戦でも1打点を記録。「上り調子の打撃を維持し、夏も4番としての役割を果たしたい」と闘志を燃やす。
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