近年、県大会進出選手が増えている駿河総合高校陸上部。昨年の 東海高校総体出場者2名、東海新人陸上大会では個人4種目、リ レー2種目に出場した。グラウンドを野球部やサッカー部と共有 して活動する、その練習風景は実に明るく、楽しそうであった。
静岡県立
駿河総合高等学校
陸上競技部
遊びの要素を取り入れた、バリエーション豊富な練習。
現在の部員数は1〜2年生の男子15名、女子11名の26名。高校入学時点で全国レベルの選手はいない。自身も陸上競技経験者で指導歴も長い、同部顧問3年目の石代裕子教諭は「公立高校の部活動として、一番の目的は人間育成。次に競技力の向上です」と、挨拶や礼儀の基本マナーや互いに協力し合う協調性を大切にしている。グラウンド整備係や映像班など、一人一役の役割分担を決めているが、最近は気がついた部員が率先して役割を担う、理想の形に近づいているという。練習は平日の朝と放課後の計3時間と土曜日の3時間。木曜、日曜が休みだ。石代顧問は、練習を「楽しむこと」を基本方針に、遊びの要素を取り入れている。柔道場での雑巾がけレースや3人一組の「ジャンプゴロゴロ」などを通じ、部員たちは自然と陸上に大切な筋肉や関節の柔らかさを鍛えていく。練習中も笑いが溢れ、実に楽しそうである。もちろん、筋肉トレーニングや陸上競技専門の練習も行う。バリエーションが豊富だから選手たちは飽きないのだ。種目別の練習では、ブロックリーダーを中心に選手たちが自ら練習メニューを組み立てる日も設定。選手各々が常に課題を持って練習に取組み、互いに励まし合い切磋琢磨していく。自己ベスト更新を目指して、自分で考え実践する力を身につけていくのだ。
目標はみんな違っていい。
上達の基本は、まず楽しむこと。
「上を目指す子、陸上を楽しむ子、色々な子がいていい」と部全体の目標は敢えて掲げない。目標に縛られず、部員一人一人が自由に陸上を楽しむ。県大会に行けない選手は出場選手をサポートし、応援することを楽しむ空気が部全体に浸透している。「このやり方が良いのかどうかわかりませんが」と笑う石代顧問だが、昨年9月の中部新人戦では、男女揃って総合3位の実績を上げた。高校から記録を大きく伸ばすのは難しいと言われる陸上だが、同部に来て飛躍する選手も多い。東海新人大会に出場した13人中12人が初の東海大会。中学では県大会止まりだった選手たちだ。女子100m出場の杉本奈津希(2年)は、入学当時の13秒台から約1年半で、「自分でも驚いた」という12秒05で走り、全国大会進出を決めた。部長の森真人(2年)は高校に入って200mのタイムを22秒97から22秒19まで縮めた。2人は「駿河総合に来て色々な練習を通して、体格や走り方、意識が変わった」と声を揃え、何よりも陸上が好きで練習が楽しいと言う。論語に「これを知る者はこれを好む者に如かず。これを好む者はこれを楽しむ者に如かず。」という教えがある。物事を上達させるには楽しむのが一番という意味だ。駿河総合陸上部は、それを肌で感じさせてくれるチームだった。
部長
森 真人(もり まさと)
Masato Mori
静岡市立観山中出身。中学から陸上を始めて競技の楽しさを覚え、同校に進学。「みんな自由なので、たまに厳しいことを言う時もあります」と個性豊かな選手たちを部長として牽引する。100m自己ベストは追い風参考ながら10秒95。今冬の練習で200m21秒台を出せる力をつけ、夏の東海高校総体出場を目指す。
副部長
杉本 奈津希(すぎもと なつき)
Natsuki Sugimoto
静岡市立城内中出身。陸上は中学から。中学時代に骨折で走れなかった時、「走りたい。私、陸上が好きなんだ」と改めて実感し、同校陸上部へ。東海新人大会本番で100m自己ベストを大幅に更新。12秒05で大会標準記録を突破し、全国大会出場。目標は自分越えの12秒ジャストと夏の東海高校総体出場。
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