2019年に続き、全国高校総体女子新体操団体で2大会連続優勝を果たした常葉大常葉高校新体操部。全国強豪校に比べれば恵まれない練習環境の中でも偉業を遂げた秘密は?そこには選手たちが自ら考え、工夫し、演技を磨いていく姿があった。

常葉大学付属
常葉中学校・高等学校
新体操部

短い練習時間、限られた場所。少ない部員数で果たした全国制覇。

2大会連続日本一と聞けば、誰もが恵まれた環境や大人数の部を想像する。しかし、常葉高校新体操部は違った。部員数は3年生5人、1年生3人と一緒に活動する中等部の中学3年生2人の10名。平日練習の火・水・木2〜3時間は全国強豪校の半分以下。練習場所は柔道場と体育館を交互に使う。「短い練習時間でどれだけ質の濃い練習をして全国制覇するか、みんなで考えています」と同部を率いて13年目の末永明日香監督。毎日の練習メニューや時間割を決めるのは選手たち。大会前には、朝にテニスコートで投げの練習、昼休みに集まって練習の動画を見て分析・修正。全て選手の自主的行動だ。振付やプログラム、曲の選定、レオタードのデザインなど、トータルコーディネートをするのは国際審判の資格を持つ末永監督。審判目線から細かなアドバイスや指導をするが、演技を磨いていく過程は選手中心である。週末は、末永監督の妹が運営する「静岡RG新体操クラブ」での練習や地方大会へ遠征に出向く。練習準備の速さ、練習の集中力と真剣な眼差し。「高いレベルを求めて、覚悟を持って来ている子たち」が限られた条件の中、本気で日本一を目指している姿に圧倒された。

常葉史上最高の技術集団が、課題のチームワークを克服。

中学1年から高校の先輩を見て育つ、中高一貫も同部の強みだ。常葉中は全中で入賞から準優勝を重ね、2016年にはアジアジュニア大会に日本代表として出場し団体金メダルを獲得。その後、全中2連覇を達成した。それは先輩たちが築き上げてきた結果でもある。3年生には11月の全日本選手権に個人で出場した選手が3人いる。冨田悠理香(3年)と、2018年全中優勝メンバー須藤華蓮(3年)。鈴木希歩(3年)は、全国高校総体個人総合3位、種目別フープで優勝した。他にも2018年全中優勝メンバーの清杏寿(3年)がいる。「今年は常葉史上最も技術レベルの高いチーム。課題はチームワークだった」と末永監督。キャプテンには、悩んだ末に高校から入った一番実績のない長田七海(3年)を指名した。「大変なことの方が多かった」と長田主将。前回の高校総体は中止。先輩の分までと挑んだ3連覇のかかった全国選抜では、本番で息が合わず、まさかの5位。そこから選手同士でミーティングを重ね、本音で話し合い、全員で技の精度を高める練習を重ねた。課題のチームワークを克服し、チーム一丸で達成した全国制覇だった。全員が喜の涙を流したという。長田主将は「嬉しさと感謝の気持ちでいっぱいだった」と当時を振り返る。全日本選手権の団体にも出場し、大学やクラブチームを相手に総合6位。総体で演じたフープ・クラブの種目別では堂々の準優勝だった。新チームは5人でのスタートになる。全国3連覇は簡単ではないが、何かを期待させる眼を後輩たちも持っている 。


キャプテン
長田 七海(おさだ ななみ)

Nanami Osada
静岡市出身。小学2 年から新体操を始め、静岡豊田中を卒業後「日本一を目指すチームで新体操を」と常葉高に。団体メンバー、キャプテンとして「メンバーを信頼し、時には厳しい声掛けもお互いにして」とチームを引っ張った。得意技は複数フープの足投げ。常葉大学に進学後も後輩たちのサポートをしていく予定。

 

 

 


鈴木 希歩(すずき のあ)
Noa Suzuki
浜松市出身。新体操は4 歳から。中学時代に全中で常葉を見て「私もこんな演技がしたい」と常葉高に。高校から団体を始め「団体をやることで臨機応変な対応力がつき、本番の演技が安定した。優勝は今でも信じられない」と常葉での成長を実感。一番の強みは表現力。大学でも新体操を続け「もっと自分らしい演技を」と先を見据える。

 

 

 


 

 

 

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