「身長を伸ばす」には小中学生期に色々な食材をたくさん食べて「胃腸を強くする」、自力で「消化吸収する力を鍛える」ことが大事とお伝えしてきました。前回までの復習も踏まえ、今回は具体的に「どうすれば良いのか」、親子で取り組むべき行動や考え方をご紹介します。

中野ヤスコの「食事と栄養の基礎知識」

「こんなに食べるの?」驚くほど食べても大丈夫。

最初にこれまでの復習です。ジュニアアスリート本人が望む体格やパワーをつける上で忘れてはならないのは…
・身長を伸ばすチャンスは、第二成長期(小学校高学年から中学3年生くらい)がピーク
・中高生が人生で一番食べる時期
・何でもたくさん食べる胃腸がスタミナ・パワーの源いっぱい食べられる体を小中学生の時期につくっておくことは、体を大きくパワーアップするだけでなく、将来のパフォーマンスを上げ、怪我に強くなることにもつながります。そして、ビックリするほどの量を食べても太らないのがこの時期。高校生以降、大人になってから「あの時もっと食べておけば」と後悔しないためにも、正しい知識を持って今一度お子さんの食生活を見直してみましょう。ジュニアアスリートの大半はエネルギー不足。筋肉をつける=タンパク質ではありません。エネルギー(炭水化物)を取った上でタンパク質を入れなければ体は大きくならないんです。

目標を子どもと共有し、「食事のクセ」を見直そう。


それでは「どうすれば良いのか」。親やコーチが「たくさん食べろ」と言うだけでは、伝わりません。小学校高学年になったら「自分の目標を明確にさせる」のが一番。部活でレギュラーになる、オリンピック選手になる、何でも構いません。「そんなの無理などと否定しないで、「そうか、そうか」と聞いてあげてください」。そして、そのために何が必要かを一緒に考え、「体を大きくするにはどうすればいいだろう」といった順番で子どもと触れ合ってほしいと思います。
次に大切なのが現状把握。今の体重、身長がどれだけで、どんな食事をしているのか。そこが改善のスタート地点になります。私が契約している選手には、食事の写真を日々送ってもらいます。最近はスマホアプリで摂取した栄養が簡単にわかりますから。肉が多い、野菜が足りない、量が少ないなど、食事のクセのほとんどが親の好き嫌いと習慣が影響します。
現状把握ができたら行動目標の設定です。体を大きくしたい場合、例えば「ご飯を300g 食べているのであれば350gに」など、具体的な数値目標にしてください。野菜を多めにとか、曖昧な目標ではできたかどうかがわかりません。子どもと一緒に目標設定して、達成した喜びを分かち合いながら、成長を見守る。その過程を楽しむのも良いと思います。

・目標を明確にする
・現状を把握する
・具体的な行動目標を設定する

親も一緒になってダイエット目標を設定し、子どもと競争するのもいいかもしれませんね。
次回は、成長期に摂取すべき栄養素についてお届けします。


<プロフィール>
中野 ヤスコ(なかの やすこ)
日本スポーツ協会公認スポーツ栄養士・管理栄養士・調理師
㈱食の学び舎くるみ代表取締役 「くるみキッチンプラス」オーナー
プロアスリートとの個人契約、藤枝東高サッカー部、藤枝東FC(小・中学生)、プロバスケットボールチーム「ベルテックス静岡」等。静岡市内だと、静岡学園卓球部、東海大静岡翔洋ラグビー部のサポートなど数多くの地元チームやジュニア選手への、食事提供や栄養指導も定期的に行っている。高1、高3男児の母。

公認スポーツ栄養士中野ヤスコ <https://www.sports-nutritionist.jp/>

くるみキッチン <http://www.kurumikitchen.com/>

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アスレシピ
中野先生も執筆している「アスレシピ」には、筋力アップ、疲労回復などの目的別、スポーツ別や栄養素別のレシピが数多く掲載されている。その他、コラムやママ特派員の投稿には、Jrアスリート世代の食に関する悩みを解決するヒントもある。

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