アスリートだからこそ予防接種を!
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子供のために大人が知っておくべきこと
アスリートだからこそ予防接種を!
小学生時代を過ごした1970年代は、インフルエンザのほか、破傷風や日本脳炎などの予防接種を、学校で同級生と共に受けていました。泣いて逃げ出す子もいれば、やせガマンして「全然痛くない!」と言い張る子もいたり。でも、中学生以降は予防接種そのものを受けた記憶がなく、現在の職業についても割と最近まで、「おとなが予防接種を受ける」というイメージが、正直、ありませんでした。
大学時代、合宿所内で流行した集団カゼ(今考えるとインフルエンザでしょう。)により、補欠選手のみで戦うチームを見たことがあります。「カゼをひくなんて気合が入ってない証拠」と言われた時代でしたが、予防接種を受けてインフルエンザシーズンに備えることが、現代の科学的なチームの危機管理です。
B型肝炎の予防接種での初診以来、年一回受診されるプロ格闘家がいます。血液を介して感染する病気のチェックのためです。日本でB型肝炎の予防接種を赤ちゃん全員にするようになったのは、わずか3年前、先進国の中では断トツのビリでした。試合中に出血を伴うこともある競技において、日本にはB型肝炎に無防備な選手があふれています。
海外遠征でおなかをこわして、コートにも立てずに帰国するしかなかった選手の話を聞いたことがあります。衛生環境が整った日本を一歩出たら、嘔吐下痢症を引き起こす病原体を筆頭に、食べ物を介する感染症との戦いが始まります。A型肝炎や腸チフスなど、予防接種で対策がとれる感染症をまず制圧することが、実力発揮のためのスタートラインです。
アスリートだからこそ、年齢にかかわらず受けるべき予防接種があるのです!
文・田中敏博
<プロフィール>
田中敏博。静岡市葵区出身。小児科医。 静岡厚生病院小児科、勤務。 小学校から現在までバスケットボールを続ける。 (公財)日本スポーツ協会公認スポーツドクター。(一社)静岡県バスケットボール協会理事 兼、スポーツ医科学委員会委員長。
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