男女揃って新人中部予選優勝。初心者でも、やればできる!
静岡県立静岡農業高等学校
ハンドボール部
ハンドボール男子日本代表がパリ五輪出場を決めた。自力での出場は36年ぶりだ。女子も世界選手権で強豪デンマークを破る快挙。時期を同じく、静岡農業高校のハンドボール部が男女揃って新人中部予選で優勝した。静岡も今、ハンドボールが熱い。
全国決めれば36年ぶりの男子。古豪復活に燃える素人軍団。
男子の全国大会出場は、昭和63年の総体が最後。しかし、清水商業OBで全国を知る増田監督が4年前に就任すると徐々に力をつけた。令和3年から2年連続で県総体準優勝、昨年は4位に終わったが、全国へあと一歩まで来ている。部員20人は全て初心者。高校から始めた選手たちが、新人中部予選2回戦で県1位の清水桜が丘高に勝利、決勝で清水東を破った。チーム最大の武器はスピードだ。司令塔の廣瀬心人(2年)は身長164㎝ながら、持ち前のスピードでゲームメイクし、得点能力も高い。全体的に小粒な選手が多いが、清水桜が丘戦はディフェンスで粘り勝った。増田監督は「小さな素人軍団でも頑張ればできる。全国へのチャンスを見せてくれた」と喜ぶ。チームのスローガンは、1つの良い行いから多くの利益を得る「一粒万倍」。ハンドボールや学校生活を一つひとつ頑張ることで最高の経験と成長をしようと、選手たちは真剣に取り組み、間違っていないことを証明した。キャプテンの軒田飛吾(2年)は「みんなで教え合い、協力し合い、盛り上げるチーム」と一体感に自信を持つ。春の選抜は県や東海の強豪を倒さなければ全国に行けないが、チャンスはある。男子日本代表に続けと、36年ぶりの全国大会出場を目指す。
2年ぶり全国出場を目指す女子。U-17県選抜強化指定に3選手。
女子は令和元年に軒田監督が就任。「凡事徹底」「GRIT(やりぬく力)」「打倒全国」を掲げ、快進撃が始まった。令和2年春の選抜で創部初の全国大会出場を果たすと、そこから4大会連続で全国大会出場。3大会で初戦突破した。しかし、昨年は両エースの怪我に泣き、春の選抜、総体での全国連続出場がストップ。県王者奪還に燃えている。チームの主力は1年生。司令塔の望月里緒はチーム唯一の経験者、バレーボール出身のGK増田くらら、バスケ出身の田嶋いちかにも力がある。キャプテンの大橋莉香が2年生唯一のレギュラーだ。望月、増田、大橋はU-17県選抜の第一次強化指定選手に選ばれた。それでも県内には、それ以上の経験者や実力者を揃えた強豪校が立ちはだかる。新人中部予選では、その中の一つ、清水桜が丘高に14対10で勝利。格上相手に守備をやりきり、まさにGRITを体現した試合だった。練習でも見たことのないスーパープレイに軒田監督は「苦しい状況で頑張れる子たち。伸びしろは大きい」と手ごたえを感じた。「コートの中で学年は関係ない。何でも言い合える仲」と大橋。間近で見る男子のプレーを参考に武器を磨けるのも強みだ。「最後は上級生の意地がものをいう。今2年生が必死に頑張っている」と語る軒田監督。2年生がレギュラーを奪い取り、1年生の実力と融合した時、2年ぶりの全国切符が見えてくる。
男子キャプテン PV
軒田 飛吾(のきた ひゅうご)
NOKITA Hyugo
清水飯田中バスケ部出身。女子監督軒田先生の甥っ子。高校進学後、同部が強豪と知り、「やってみよう」と入部。ディフェンスのパスカットからの速攻を得意とし、攻撃の起点となるポストプレーヤー。「得点を決め、ヨッシャーとみんなで盛り上がる瞬間が最高」と、36年ぶりの全国大会出場に向けチームを引っ張る。
女子キャプテン LB
大橋 莉香(おおはし りこ)
OHASHI Riko
豊田中陸上部出身。姉が同部OBで小学生から興味を持ち、高校から始める。「走る、跳ぶ、投げる、色んな要素が詰まった他にない競技」と魅力にはまり急成長。サッカーでいうPKの7mスローには絶対の自信を持つ。「2年前に先輩が全国出場を決めた時の会場の盛り上がりをもう一度」と王者奪還に闘志を燃やす。
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