8年ぶり県新人戦優勝!そして全国選抜出場! バスケ、バレー、ソフトボール…様々な競技の経験者が集まった女子ハンドボール部。対話を重ね、速攻を磨き、部員11人で掴んだ栄冠。

静岡市立清水桜が丘高等学校
女子ハンドボール部

桜が丘高校10年の歴史で全国出場5度の女子ハンドボール部。8年ぶりに県新人戦を優勝、東海大会6位決定戦を制し、3月の全国選抜出場を決めた。6度目の挑戦で全国2勝を目指す同部を取材した。

部員11人中10人が初心者。磨いた伝統の「走り勝つ」ハンド。

部員は2年生6人、1年生5人の計11名。内10人は競技初心者で、バスケ5人をはじめ、バレー、ソフトボールなど経歴は様々だ。入部後はまず、ボールを投げる、取る、の基本を学び、ルールを覚える。GKの太田陽心(2年)は「最初は何もできなかった。先輩から教わり、自分が上達していくのが目に見えてわかるのが楽しい」と振り返る。10mも届かなかったボールを30m近く投げられるようになった。1年生は夏の終わり頃から実戦練習に加わる。顧問9年目の牧野監督が目指すのは「走り勝つ」ハンド。GK以外の6人がコートを走り回り、相手をかき回す。速攻練習をメインに、ボールを奪ってからの速い攻撃力を磨く。チームの得点源はLHC(同校拠点のハンドボールスクール)出身で唯一経験者の坪井香璃(2年)、サッカー出身でスピードが武器の八木ももこ(2年)が続く。2年生6人は、上級生が3人だったため1年生から公式戦に出場し、実戦で力を磨いてきた。昨年の新人戦は県3位、インターハイ予選は県4位に終わり、悔しい思いもしてきた。「この子たちはコロナ禍で多くの大会中止を経験し、県外遠征もあまりできなかった。全国に行けて本当に良かった」と牧野監督。今大会は、経験豊富な2年生と経験が浅いながらも頑張った1年生、11人全員で勝ち取った全国切符だ。

選手主体で「なぜ?」を共有。目標は農高超えの全国2勝!

チームの強みは、選手同士の対話で連携を高め、攻撃のバリエーションを工夫できる力。牧野監督は攻撃の選択肢の助言はするが、細かな指示はしない。攻撃の組み立て、判断は全て選手が行う。キャプテンの亀井春実(2年)は、「ミスした時、必ずなぜ起きたかを話し合い、次はこうしようと確認する。上手くいったときも同じ。ぶつかることもあるが、何でも言い合える関係」と言う。1年生もどんどん質問してくるから、自然とチーム内の共通認識が生まれる。監督のアドバイスを基に、自分たちでアレンジを加える攻撃力はチーム最大の武器だ。

せっかくやるなら高い目標を持とうと、横断幕には「目標がその日その日を支配する」を掲げる。「ライバルの静岡農業高が全国で1勝したので、全国2勝が目標です」と亀井。東海大会で強豪校と対戦し、全国レベルを肌で感じた上での目標だ。小さい頃からハンドボールをやってきた県外の代表校に勝つのは、一つ勝つのも簡単ではない。もっぱらの課題は守備の強化。そこに自慢の攻撃力を加えれば目標に近づく。県内では追う立場から、追われる立場になった。桜が丘では、部活だけでなく勉強や検定、クラスの活動も疎かにできない。現状に満足せず、常に高みを目指し、人間力を磨くことで、勝利も見えてくる。念願のインターハイ全国出場のためにも。チャンスは2回ある。全国2勝の桜の花を、ぜひ咲かせてほしい。


キャプテン
亀井 春実(かめい はるみ)
KAMEI Harumi


西奈中学出身。中学はソフトテニス部に所属。小さい頃から経験者の母の影響でハンドボールに触れる機会があり、「かっこよかった。いつかは自分も」と同校へ進学。頭脳とスピードで相手をかわし得点に絡むポストプレイヤー。リーダーとして選手間の意見交換を活性化し、チーム全体を明るく盛り上げる。


ゴールキーパー
太田 陽心(おおた ひなた)
OTA Hinata


清水第七中学出身。小学生からバスケを始め、中学バスケ部の先輩から誘われ同校へ。「自分のプレーでピンチを脱した時、みんなが喜んでくれるのが嬉しい」と最後の砦を楽しむ絶対的守護神。シューターの特徴を見極めて守る力に長け、「全国強豪校選手の強くて速いシュートを一本でも多く止めたい」と意欲を燃やす。

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