少人数、少練習にも負けず、男女共に新人戦団体県大会出場を果たした、静岡東高校 剣道部。文武両道を極める剣士たちは、団体戦東海大会出場を目指す。
静岡県立静岡東高等学校
剣道部
昨秋の新人戦、静岡東高校剣道部が男女揃って団体戦県大会出場、県ベスト16まで進んだ。部員は男女合わせて11名、公立進学校だから部活動の時間も限られる。それでも、部員主体の考える剣道が逆境を乗り越えた。
男子6名、女子5名の少数精鋭。剣を磨いた選手主体の工夫と集中。
昨年始動した新チームの部員数は、男子が2年生6人のみ、女子が2年生2人、1年生3人の5人、総勢11名。部全体を顧問の教頭先生と副顧問の4人の先生が見守り、技術指導は外部コーチ2人が週2~3日行う。日々の練習を組み立て実施するのは部員たちだ。練習は平日4日2時間と土曜日、テスト前は休みになり、活動日は強豪校に比べ圧倒的に少ない。
部長の生子天翔(2年)は「練習時間が限られるので、効率的にバランスよく、練習の目的を明確にし、集中して取り組めるよう工夫している。互いにアドバイスしあいながら切磋琢磨できる仲間」が同部の強みという。女子部長の伊藤茜音(2年)は「学年の壁がなく仲がいい。何でも言い合える」雰囲気の良さと結束力の強さが魅力と語る。同部の指導2年目の松田コーチ(32歳)は剣道6段、指導歴10年。「自分たちの欠点を分析し、ここを直したいから、こういう練習をしたいと言ってくる子たち。きつい練習を分かった上で、それを自ら選択し努力する姿を尊敬する」と取組姿勢を評価する。指示されたことだけを行うのではなく、短い練習でも上達するよう自分たちで考え、練習の質を追求していく。その姿勢は大人になって特に大事になる、勉強以上に大きな学びだ。
勉強も部活も頑張りたい。目標は男女揃って東海大会出場。
部員は全員経験者。勉強も剣道も頑張りたいと同校に進学した生徒が多く、11人中10人が剣道3段。目標は男女共、団体で東海大会に出場すること。新人戦はベスト8までが東海に進むが、あと一歩だった。男子は個人でも県大会出場の生子が先鋒で流れをつくり、副将の北山浬玖(2年)も一本を取り切る力がある。女子は個人戦県大会出場の、森島咲希(2年)、髙橋桃(1年)、久保椎菜(1年)を中心に、5人全員で勝ち切り、中部では静岡翔洋高校に次ぐ2位だった。東海総体への出場枠は4つ
県ベスト4は簡単ではないが、部員たちは本気だ。剣道は団体戦が5人、個人戦も大会によって出場枠は限られるが、同部は人数が少なく、試合に出られる喜び、真剣勝負を楽しめる環境がある。勉強がメイン、活動日や対外試合が少なく、決して恵まれた環境とは言えないが、剣道が好き、仲間が好きだから、高い目標を掲げ、共に頑張りたいのだ。松田コーチは、「もう一段上に行くには、一本を取りに行く姿勢、決めきる打突力、粘り強さが足りない。高い目標を目指す以上、頑張ってほしい」とエールを送る。今春、新1年生が新たに男子5人、女子2人入らないと次の新人戦で上位入賞は難しくなる。文武両道の極みに挑戦する東高剣道部は得るものが大きい。新入生は活気ある稽古風景をぜひ見てほしい。
男子部長
生子 天翔(しょうじ たかと)
SHOJI Takato
清水第六中学出身。小1から剣道を始め、剣道部がある文武両道の東高へ。剣道3段。近い間合いの攻防を得意とし、相手に合わせバリエーション豊かな技を繰り出す。試合では先鋒としてチームに勢いをつけ、部長として部全体を引っ張る。個人でも男子で唯一、新人戦県大会に出場した男子部のエース。
女子部長
伊藤 茜音(いとう あかね)
ITO Akane
服織中学出身。小5から剣道を始め、強豪服織中剣道部で腕を磨く。剣道3段。相手を引き出してからの返し技を得意とし、特に返し胴は巧。試合では大将として最後の砦を務める。部員一人一人の特徴を見極めて声を掛ける気配り屋で、団体戦5人ギリギリの女子チームを牽引する頼もしいリーダー。