70年近い歴史を持つ城南静岡女子ソフトボール部は、前身の静岡女子商業高時代に全国優勝も遂げた伝統ある部だ。「ソフトボールを通じた、社会で活躍できる女性の育成」の場であるグラウンドには、元気いっぱいに輝く選手たちの笑顔が溢れていた。
城南静岡高等学校 女子ソフトボール部
全国へあと一歩が10回以上。名門クラブで活躍する卒業生も。
現理事長の増田正史氏が監督を務めた昭和35年に熊本国体で全国優勝、昭和56年には全国総体準優勝の実績を持つ城南静岡女子ソフトボール部。現在指揮を執る野々村大介監督(49歳)は、高校、大学とプレーした後、23歳で同校の監督となり、通算21年間チームを見てきた。中部9県で戦う中日本大会での優勝実績もあるが、「全国につながる新人戦、インターハイ予選では県準優勝が10回を越えます。あと一歩なんです」と野々村監督。平成15年に城南静岡になって以降は、全国大会出場から遠ざかっている。県内の女子ソフトボール部は22校。以前より少なくはなったが、強い選手を集めるチームもある中、優勝するのは簡単ではない。今夏の県インターハイ予選は、2回戦で掛川東に1点及ばず惜敗し、ベスト8だった。
3年生8名が卒部し、新チームは、2年生6人、1年生6人の12名。全員経験者だが、決して中学時代に注目を集めた選手たちではない。ソフトボールが好きで、自ら城南を選んで入ってきた子たちだ。中には、富士、富士宮から通う生徒もいる。「何よりも、城南に来て良かったと卒業してもらいたい」という野々村監督は、進路も手厚くフォロー。卒業生には、名門チームや社会人のクラブで活躍する選手もいる。
城南静岡初の県制覇を目標に日々の練習を糧に接戦を勝つ!
練習は週6日。スピードを重視し、プレーだけでなく、準備や日頃の行動にも素早さを求める。守備ではミスを少なくムダな点を与えず、攻撃では相手を揺さぶりノーヒットでも1点を取る、しぶといチームを目指している。「練習で鍛えた成果が試合で出せた時の喜びが大きい」という選手たち。チームの柱となるのは2年生の3人だ。エースの森琴子を中心に辛抱強く守り、強打者で攻守の要の谷口小夏が大きな声で仲間を盛り上げる。キャプテンの今井咲良がチームをまとめ、少ないチャンスを生かしながら接戦をものにしていくチームだ。目標は県制覇。城南初となる全国大会出場を目指す。
スローガンは「常笑力勝!」。常に笑顔でプレーし、みんなの力を合わせて勝つ。その言葉通り、選手たちは元気に声を掛け合いながら、実に楽しそうに練習に励んでいた。父母会では2年前から、試合を見に来られないOGや保護者にその姿を届けようと、目標に向かって頑張る選手たちの写真をホームページやSNSで発信している。そのハツラツとした姿は、「先ず健康と明るい心」「道に従い 優しく強く」などの校訓を掲げ、人づくりを続けてきた同校の思いを体現しているかのようだった。
キャプテン今井 咲良(いまい さら)
Sara Imai
姉と従妹の影響を受け、中学からソフトボールを始める。長田南中では投手。駿河総合に進んだ姉とは違う環境でプレーをと城南へ。現在はセカンドを守り、小技や盗塁を得意とするチャンスメーカー。キャプテンとして「かっこいいプレーでチームを盛り上げたい」とプレーでチームを引っ張る。
谷口 小夏(たにぐち こなつ)
Konatsu Taniguchi
富士市出身。小学4年生からソフトボールを始め、片道50分の城南静岡中に通いながらクラブチームに所属。高校から同部へ。内野手兼投手、長打も打てるパワーヒッターとして攻守の中心選手。「ソフトボールのスピード感が好き」と笑顔で語る、声がチーム一大きい、ムードメーカーでもある。
森 琴子(もり ことこ)
Kotoko Mori
小学3年生からソフトボールを始め、東豊田中時代に合同練習や試合で城南静岡の先輩たちと触れ合い、その憧れから城南へ。姉も同部のOG。中学から投手を務め、現在もエースとしてチームを引っ張る。得意球は、最速93㎞のインハイストレート。将来は、母親と同じ保育士になるのが夢。