スポーツ・文化・芸術に取り組むジュニアアスリート達とそれを支える指導者、保護者達。真剣であればあるほど、抱える悩みは尽きないもの。大好評連載の「小野澤宏時のオフ・ザ・ボール」ですが、今回はご自身も2児の父親である小野澤宏時氏が、そんな悩める皆様の質問にお答えします。


Q1.「僕はサッカー部です。もうすぐ中学最後の大会の中体連があります。残り少ないこの時間でも、少しでもサッカーがうまくなればと思い質問させて下さい。
僕の今のポジションはセンターフォワードです。でも身体はみんなと比べると決して大きくないです。みんなのためにセットプレーなどで、ゴールを決めたいのですが、いつも相手のディフェンダーに競り負けてしまいます。
ご飯をたくさん食べたり、腹筋をしたりしていますが、なかなか強くなりません。一対一のときの体の使い方のコツとか、競り負けない体づくりの方法があれば教えてもらえたら嬉しいです。
ラグビーの選手たちはとっても強いイメージです。小野澤さんはどうやって強くなったのですか? 僕もドルトムントのハーランドみたいに、強くて速い選手になりたいです!(公立中学サッカー部3年)」


「うまくなる」とひとくちに言っても、いろいろな「うまさ」があるし、人それぞれのやり方があります。なので、ここでは一般的なお話をします。基本的なトレーニングについては、チーム練習で真剣に取り組んでいると思うので、まずはリカバリーについての話をします。スポーツやトレーニング後のリカバリーは、運動でダメージを受けた身体を修復する目的で行われます。たとえどれだけ良いトレーニングをしても、次の練習までに回復していなければ継続的な強化が途絶えてしまいます。そのためにはトレーニング後の良いリカバリーが重要になるのです。体を回復させるための方法には栄養・水分補給、睡眠、ストレッチなどの身体ケアに加え、良いリラックスをするなど様々な方法が多くあります。方法に関してはネットや本などで一般的な情報はすぐに入手できると思うので、調べてみてください。いろいろな方法がある中から「自分の形」を探しながら無理なく取り組んでいくことが良いでしょう。
食事の面では「何を食べるのか」にとらわ
れがちですが、「いつ・どのように食べるの
か」も大切です。
普段の食事はもちろんですが、次への準備は練習直後から始まります。そのため練習直後に「何」を「いつ」食べるのかを考えてみましょう。また、非常に基本的なことですが「よく噛んで食べる」ことはとても大事です。よく噛んで食べて排出された便と、よく噛まずに食べて排出された便では、便の中の栄養素に違いがあるという研究報告もされています。体内に滞在している時間が同じであれば、よく消化された状態の方が栄養が吸収されやすい、という当たり前のことなのですが、意外と軽く考えてしまうことが多くあります。意識してよく噛むようにしましょう。

次に体の使い方ですが「大きくない=強くない」わけではありません。
例えば、手押し相撲などする場合、股関節や膝などが伸びきっている状態と、少し曲げている応対ではどちらの方が強いでしょうか?たとえ相手が大きかったとしても、自分がしっかりと動きやすい構えや、姿勢を準備しておくことで対処できます。表現はいろいろですが「パワーポジション」などと言われているのを聞いたことがないですか?つまりは「瞬時にいろいろな方向に対応できるような姿勢」が強い姿勢という事になります。また大きい相手に対しては、低さだって強力な武器になるのではないでしょうか。
ラグビー選手はレスリングや柔術のコーチから指導を受けたり、いろいろな競技を体験する中で自分たちへのヒントとなるものを集めたりします。そこで獲得したものをコツやアトラクターといった言葉で表現したりします。ブリングアップアカデミーではそんな「コツを掴む」ための環境設定を中心にアカデミーを実施しています。もし興味があれば、もう少し突っ込んだ話もできますので、ぜひブリングアアップアカデミーに参加してみてください。

<問い合わせ>
Bring Up Rugby Academy
ブリングアップ ラグビーアカデミー静岡校
詳しくはこちらまで!:https://www.bu-as.com/

悩める皆様からの質問を受け付けております。こちらよりご応募ください。

 

第一回 どうすれば「ゲーム」に勝てる?

第二回 「コーチ1分ください」 集団で考える、学ぶ

第三回 やさしくなると、プレイが変わる

第四回 大きな怪我をしないために

第五回 親がどこまで口を出すべきか ~スポーツと親子関係~

第六回 コロナ禍での練習制限をプラスに考える 


<プロフィール>
小野澤 宏時(おのざわ ひろとき) 静岡県島田市金谷町出身。1978年生まれ。元ラグビー日本代表。静岡聖光学院中等部、高等部、中央大学を経て、トップリーグではサントリーサンゴリアス、キヤノンイーグルスに所属。日本代表キャップ数(出場回数)81は歴代2位。名ウィングとして「うなぎステップ」を武器に代表戦55トライ。現役時代から教育に興味があり教員免許を取得後、筑波大学大学院へ進学、その後日本体育大学の修士課程から博士課程に進み、教育、指導に関する研究に携わる。2018年よりBring Up Rugby Academyコーチ。2019年より、静岡初の女子7人制ラグビーチーム「アザレア・セブン」監督。他、大学講師など多方面で活躍中。

 

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