昨秋の県選手権にて、1981年の創部以来初となる優勝を遂げた静岡農業高校女子ハンドボール部。3月には初めて全国大会の舞台を経験し、惜しくも初戦敗退となったが、確実に力をつけている今注目のチームだ。

静岡県立静岡農業高等学校 女子ハンドボール部

部員の大半がハンド初心者。凡事徹底で県のトップに。

部員の大半がハンド初心者。
凡事徹底で県のトップに。
昨夏から始動した新チームは、部員16人中14人が未経験者。バスケや陸上など他競技の選手が多く、中には吹奏楽部出身もいる。そんなチームが県のトップに上り詰めた。静岡農高のハンドボールといえば男子が有名。過去6度のインターハイ出場、五輪選手やトップリーグの選手も輩出している。2年前に赴任した軒田先生は、清水東高で男子ハンドを指導し全国に4度出場していた。当然男子を担当と思いきや、任されたのは女子ハンドだった。指導歴15年で初めての女子に当初は困惑したという軒田監督だが、コツコツ積み上げ成長していく選手たちに期待が膨らんでいった。その指導方針は凡事徹底。基本を大事に、1回できたことを100回連続でできるチームになろうと、パス、キャッチ、シュートの基礎練習を繰り返した。攻撃は経験やセンスが必要だが、ディフェンスは素人でも頑張ればできると守備力を強化。ロースコアで勝ち切る力をつけ、一昨年、創部37年にして初の東海大会出場を果たした。「今春卒業した先輩も県ベスト4。先輩の背中を見て育った今の3年生は僕と一緒に来た子たち。基礎から指導した愛弟子です」と軒田監督。昨年のインターハイ中止により早いスタートを切った新チームは、公式戦負けなしの10連勝と勢いに乗って、初の全国大会へと挑んだ。

何事も楽しむ明るさが強み。農高女子ハンドの伝統を。

チームの中心となるのは、県選手権でMVPを獲得した遠藤佳菜(3年)、ベスト7に選ばれたキーパーの望月菜央主将(3年)、ハンド経験者の田淵未来(2年)。堅守速攻を強みとするチームは、全国選抜大会初戦で得意のロースコアに持ち込んだが、15対13で惜敗。全国初勝利まであと一歩だった。「負けるのは本当に悔しい。少しでも集中力が欠けるとやられてしまうのがハンド。次は全国の壁を破りたい」と遠藤。「目標はインターハイに出場して勝つこと」という望月主将は、同級生に経験者は自分だけで全国は夢物語と思っていたが、今は上を目指す喜びを知った。練習着には「打倒全国」の文字。「そのためには、県内で圧倒的な強さで勝てるチームになること。農高女子ハンドの伝統を作って下に伝えていきたい」と目を輝かせる。
静岡は、他県に比べハンドボール人口が少ない。軒田監督は「全国で勝てるチームを」と、3年前に小学生、昨年中学生のチームを立ち上げた。農高体育館で行う練習では、部活を終えた部員が中学生を教える。「辛い練習が続いても、はしゃぎながら楽しくやる。明るく元気なところが最大の強み」と軒田監督。インターハイ出場を勝ち取り、全国初勝利を成し遂げる彼女たちの笑顔を見たい。


遠藤佳菜(左)
Kana Endo(えんどう かな)
清水七中出身。小中学時はバスケ部。仮入部の時、先輩たちが楽しく教えてくれ、上を目指したいと入部。男子のプレーを動画で見て真似するなど、研究熱心でセンス抜群。憧れは筑波大学の佐藤陽太選手。サウスポーから投げ下ろすミドルシュートを得意とし、仲間も生かす。ほとんどの得点に絡み、プレーでチームを引っ張る。
キャプテン 望月菜央(右)
Nao Mochizuki(もちづき なお)
静岡東中出身。中学からハンドボールを始め、憧れの先輩と一緒にプレーしたいと農高へ。「キーパーは恐いのもあるけど、強いチームの強いシュートを止めたい気持ちの方が強い」という絶対的守護神。チームの守備力のアップに手応えを感じつつ、桜が丘高をはじめとする強力なライバルに、油断は禁物とチームを引き締める。


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