「背を伸ばすにはどうすればいい?」いっぱい食べられる体をつくること!
ジュニアアスリートに限らず、小中学生の悩みで多いのが「身長を伸ばしたい」。果たしてどんな解決策があるのか?スポーツ食育プロジェクト「ベルメシ※」でもジュニアアスリートの食事に関するセミナーを行う公認スポーツ栄養士の中野ヤスコ氏に話を聞いた。
いろいろな食材を受け入れられる子に!「胃腸を強くする」ができるのは今。
これは皆さんに必ず言うことなのですが、「何を食べたらこうなる」という魔法の食品はないんです。スポーツ栄養学を語る前に、なんでも食べられる「食育」ができていないと体は大きくも強くもなりません。私はトップアスリート以外に高校生のスポーツ選手も多数指導していますが、特に思うのが「高校生になってから食事に気をつけても遅い」ということ。高校1年生の「もうちょっと背を伸ばしたい」という相談に「もったいない。もっと小さい頃から食事指導ができていれば」と思うわけです。
子どもの成長期は、赤ちゃんの時と第二成長期の2回しかありません。女の子は9歳〜11歳くらい、男の子は11歳〜13歳の間で急激に伸びはじめる子が多いです。つまり、身長を伸ばすチャンスは小中学生の時が大切なのです。もちろん個人差はありますし、特に男の子は高校生でも伸びますが、一番大事なのは小学校の低学年から中学年くらいに食事の習慣をつけ、食事量をしっかり増やすこと。胃腸を強くし、いろいろな食材を食べられるようにしておくことが大事なのです。高校生になってからたくさん食べようとしても急には難しいのです。
身長を伸ばすために「牛乳を飲んだ方がいいですか?」「プロテインは必要?」という質問もよくいただきます。私たち人間は、自分の体で栄養をつくることができません。成長に必要な栄養は食べ物から得なければなりません。そこで大前提となるのが、食べ物から栄養を「消化吸収できる体」になっていることです。そのためには小中学生の頃からたくさん食べて「胃腸を強くする」こと。栄養のことを気にする方が多く「何を何グラム取ったらいいんですか?」とよく聞かれますが、たくさん食べられない人=エネルギーをしっかり摂れない人はココロもカラダも強くなれません。これは多くの選手たち、子どもたちを見て確信しています。保護者の方からは「うちの子ほんとよく食べるんです、あんなに食べているのにヒョロヒョロで…」という話をよく聞きます。保護者ご自身が食べる量と比べて無意識にそう感じるのだと思います。でも、実は人生の中で1番たくさん食べるべき時期なんです。
子どものうちから量を食べて胃腸を強くし、成長に必要な栄養を消化吸収できる体になっておくこと。好き嫌いなく食べる習慣を身につけること。そして一番背が伸びる第二成長期にしっかりと量を食べること。それが「もっと背を伸ばしたい」への一番の近道であり、強い体をつくることにつながります。何でも食べられるようになっていれば、将来のコンディショニング調整はスムーズになります。食べられない選手は試合で好不調に波がある光景を何度も目にしてきました。ケガもしやすく治りにくいです。まずはいっぱい食べられる体をつくること。成長期に得るべき栄養素や摂取するタイミングについては次号以降で詳しく紹介しますのでお楽しみに。
※「ベルメシ」・・・医療食の専門会社「R&Oフードカンパニー」がプロバスケットボールチーム「べルテックス静岡」と連携し運営する、プロアスリートの食事ノウハウを元にスポーツを愛する全ての方へ広めようと生まれたスポーツ食育プロジェクト
<プロフィール>
中野 ヤスコ(なかの やすこ)
日本スポーツ協会公認スポーツ栄養士・管理栄養士・調理師
㈱食の学び舎くるみ代表取締役 「くるみキッチンプラス」オーナー
プロアスリートとの個人契約、藤枝東高サッカー部、藤枝東FC(小・中学生)、湘南ベルマーレ、ジュビロ磐田ユース、プロバスケットボールチーム「ベルテックス静岡」等、数多くの地元チームやジュニア選手への、食事提供や栄養指導も定期的に行っている。高2、中3男児の母。
公認スポーツ栄養士中野ヤスコ <https://www.sports-nutritionist.jp/>
くるみキッチン <http://www.kurumikitchen.com/>
アスレシピ
中野先生も執筆している「アスレシピ」には、筋力アップ、疲労回復などの目的別、スポーツ別や栄養素別のレシピが数多く掲載されている。その他、コラムやママ特派員の投稿には、Jrアスリート世代の食に関する悩みを解決するヒントもある。
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