文部科学大臣杯 第10回記念全日本少年春季軟式野球大会

中学野球春のセンバツで
静岡市立竜爪・西奈中合同チームが全国3位に

3月22日から25日まで4日間に渡り、中学野球の春のセンバツ大会となる「文部科学大臣杯 第10回記念全日本少年春季軟式野球大会」が静岡県中東部の野球場で開催され、北海道から沖縄まで計55チームが熱戦を繰り広げた。
静岡地区からは、昨秋の県新人戦で優勝した東海大翔洋中等部、開催地枠として新人戦準優勝の静岡市立竜爪・西奈中学の2チームが出場。東海大翔洋中は、初戦となる2回戦、3回戦共に1点差で勝利し準決勝に駒を進めるも、大阪代表の門間ビッグドリームスに4-0で敗退しベスト8で今大会を終えた。

静岡竜爪・西奈中は、初戦の対高知戦を1-1の同点から特別延長を1-0で勝ち上がると、2回戦の沖縄代表、3回戦の新潟代表を撃破しベスト8に。準々決勝では、岡山代表の総社中クラブに4-0で完封勝利し、クラブチームや私立中学がひしめく中、公立中学の合同チームとして全国ベスト4に進出した。準決勝に残った他の3チームは全てクラブチームで、ここまで勝ち進んだのはまさに快挙である。

25日(月)草薙球場で準決勝が始まった。静岡竜爪・西奈中が対するのは愛知県代表の東山クラブ、ここまで1点差の接戦を制してきた守りのチームだ。静岡竜爪・西奈中もここまで4試合で3失点と守りでは負けていない。
試合前にベンチ前でエンジンを組む静岡竜爪・西奈中の選手たち。0イニングから有利に立つようにと今のチームからスタートした「勝つぞ」コールがグラウンドに響き、チームの一体感が伝わってくる。

静岡市スポーツ交流課の「つなぐプロジェクト」FBページで紹介されている映像はこちら。

https://www.facebook.com/162889047636120/videos/397888610776711/)

 

プレイボール。静岡竜爪・西奈中の先発永野君は、立ち上がりから落ち着いた投球。低めを意識した抜群のコントロールと緩急をつけたピッチングで1回、2回と三者凡退。ライトを守るキャプテン山形君の攻めの守備、ダイビングキャッチのファインプレーもありヒットを許さない。三回表、先頭打者に許した初ヒットが左中間を破るツーベースとなり、無死二塁から送りバントで一死三塁のピンチも、詰まった当たりのピッチャーフライを落ち着いた処理でダブルプレーにとり得点を与えない。対する東山クラブ先発の島田君もキレのあるストレートと変化球がコーナーに決まり、四球を許すも4回までノーヒットの快投を続ける。

5回表、永野君が先頭打者ヒットから迎えた二死三塁のピンチを三振で切り抜けると、その裏静岡竜爪・西奈中の攻撃で、先頭打者の6番村田君がレフト前にチーム初のヒットを放つ。静岡竜爪・西奈中の一塁側スタンドのブラスバンドや保護者たちの応援にも力が入る。この応援があってのここまでの勝ち上がりと思わせる熱の入った声が飛び交う。しかし、後が続かずこの回も無得点。その後も両投手の好投と両チームの堅い守りで、0-0のまま最終回七回を終了、特別延長タイブレークに突入した。

八回表、無死一二塁から始まる東山クラブの攻撃。送りバントで一死二三塁から、スクイズもある場面で強行に出た打球はセンターの前に落ちランナーが生還、1-0とついに均衡が破れる。続くピンチに、ピッチャーゴロとライト前ヒットで2点の追加を許し、3点を追う形で8回裏を迎えた。
もう打ってつなげるしかないが、好投手島田君を打ち崩すのは容易ではなかった。それでも二死一三塁から一番和田君が執念の三遊間安打で1点を返し1-3。しかし反撃もここまで。最後のバッター永野君の当たりはサードフライでゲームセットとなった。

あと一歩のところで決勝には進めなかったが、どちらが勝ってもおかしくなかった。両チーム無失策でとても引き締まった好ゲーム。練習場所や時間も限られる静岡市の公立中学の合同チームが、全国レベルで戦えることを証明した試合であった。全国3位は大健闘である。
試合後、山田監督は選手たちに「3位で満足か?悔しくないか?」と問いかけ「全国3位は立派な成績。でもお前たちならもっとできる」と、守備でのチャレンジ、バッティングを更に磨くことの必要性を伝えると同時に、応援団への感謝の気持ちと、自分達だけの力ではないという謙虚な姿勢の大切さを忘れなかった。

「声を出し、のびのびとしたプレーで、ワクワクしながら試合をできた」と山形キャプテン。先日の取材で見た山形君の野球ノートの「声と全力プレーでチームを引っ張る」を有言実行した。「勝つぞ」コール、初回のファインプレーも素晴らしかったが、試合後の「ありがとうございました」の気持ちのこもったハツラツとした挨拶は間違いなく全国レベルだった。
今回全国大会準決勝の景色を見た静岡竜爪・西奈中。このチームには何故か試合ごとに成長する力がある。「子どもたちの無限の可能性に感動し、その頑張りに感謝しかない」と山田監督。まだ終わりではない。全軟の県制覇に向けた戦いはもう始まっている。

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