Go For It ! 石井桜果選手インタビュー
誰でも挑戦できるところが魅力。いつか静岡を「ラグビー王国」に!
アザレア・セブン WTB
石井 桜果選手
1998年、焼津市生まれ。幼少時から小学校までは空手、中学時代は部活でバレーボールを経験。
東海大翔洋高校で本格的にラグビーを始め、全国大会にも出場した。
現在は日本体育大学に在籍しながら、アザレア・セブンでプレーしている。
親戚が空手の師範だったので、物心ついたころには私も空手をやっていました。でも正直、やらされている感じもあったかな(笑)。自分から進んで練習していたというよりは、今日は空手の日だから道場に行く、そんな感じでした。
でも、負けん気だけは強くて、「この道場でいちばん強いのは私!ほかの子に負けるなんてありえない!」と思っていましたね。特に同い年の子や双子の弟には負けたくなかった。とにかく勝負ごとは絶対に勝ちたい。学校で休み時間にやる鬼ごっこも、いつもまわりが見えなくなるほど本気でした(笑)。
当時、師範には「お父さんとお母さんに感謝しなさい」とよく言われました。道着を買ってくれて月謝も払ってくれているのに、練習を無駄にしたらいけないよ、と。子どもだったのでその意味をちゃんと理解できていなかったけれど、男の子に交じって練習している私に、友達のお母さんが「頑張って!」と声を掛けてくれることもあって、応援してくれる人がいることは有難いなと思いました。
全日本バレーの試合を観るのが好きだったこともあって、中学では女子バレーボール部に入りました。ただ、私は集団行動がちょっと苦手で、女子の〝群れる〞感じがダメ。キャプテンを任されたときには、本気になりすぎてチームメイトとぶつかり、人間関係に悩んだこともありました。今振り返ると、自分の心の成長が年齢に追いついていなかったのかなと感じます。
高校に進学し、タックルのないタグラグビーを経験したのをきっかけにラグビーを始めることになりました。最初はマネージャーをやるつもりが、気がついたらスパイクを履いていました(笑)。私はもともと足が速かったので、ラグビーをやっていて自分の武器が生かせることがとにかく楽しかったですね。そのとき、先生や先輩、同期から褒められたこともすごく嬉しくて。「私、認めてもらえたんだ」って初めて思えたんです。
今年からは、地元の静岡県で誕生した「アザレア・セブン」で選手生活をスタートすることになりました。アザレアには個性的な選手がたくさんいて、これまで生意気だ、破天荒だと言われて浮いていた自分が、いたって普通の人間に思えます(笑)。何より有難いのが、チームメイトの多くが人生の先輩で、わがままな自分を叱ってくれたり、ずっと待っていてくれたりすること。なかなか人に合わせることができない私を、そのまま受け入れてくれるんです。私もそんなチームメイトのために頑張らなきゃと思うし、自分が上の立場になったらそういう先輩にならなくちゃいけないと感じます。
オフの時などは、みんなに会えなくてホントに寂しくて、イベントで久々に会うとほっとするんです。誰かが一人でも抜けたら悲しいし、チームメイトがすごくいとおしい。そう思えるような雰囲気を作ってくれているのは、チームを「家族」だと言ってくれる小野澤(宏時)監督だと思っています。
ラグビーは体の大きな選手がやるイメージがあると思いますが、実は体が小さな人でも、走るのが遅い人でも、力の弱い女の子でも、誰でもできちゃいます。というのも、ラグビーはポジションごとに違った役割があるので、誰でも自分の持ち味を生かせるんです。あとは、お互いを認め合う精神。試合が終わったら、敵味方関係なく相手を称える「ノーサイド」という文化があります。胸が熱くなるのを感じられるスポーツなので、一度でも観たり体験したりすれば、すぐにその魅力にハマってしまいますよ。
静岡は昔からサッカー王国だけど、アザレアを通じて私もラグビーの普及活動を頑張って、いずれ「静岡はラグビー王国でもある」と言われるようにしたいです。そうなったら、静岡はサッカーもラグビーも強いスポーツ王国になれますからね。そのためにも、まずは目の前のことを全力でやる。支えてくれる人たちの幸せを常に意識して、これからもとことんやっていこうと思います。
アザレア・セブン
静岡県初の女子7人制ラグビーチーム。ヤマハ発動機ジュビロ前監督の清宮克幸氏が代表理事を務める一般社団法人 アザレア・スポーツクラブに属す。監督は日本代表キャップ81の小野澤宏時氏。国内最高峰の女子7人制大会「太陽生命ウィメンズセブンズシリーズ」への参入を目指している。
アザレア・スポーツクラブHP
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