東海大静岡翔洋中等部が、2年連続8度目の優勝。
[しんきんカップ 第49回静岡県中学選抜野球大会]
春の中学野球王座を決める「しんきんカップ」。2月16日より県内32校(推薦4、東部10、中西部各9校)がトーナメントで戦い、3月9日(土)島田球場にて決勝が行われた。
東海大静岡翔洋が大会連覇をかけ浜松市立曳馬中と対戦。
前年優勝校で4年連続24回目の出場となる静岡翔洋中は、昨秋の新人戦で地区優勝し推薦枠で、浜松曳馬は予選から勝ち上がり、2年ぶり6回目の本戦出場だ。
静岡翔洋中は、3回戦まで順調に勝ち上がり、準決勝で浜松丸塚に1対0、主戦松井君がノーヒットノーランを達成し決勝進出を決めた。浜松曳馬は、1回戦から3回戦まで3戦連続で特別延長の接戦を勝ち抜き、準決勝では福田中を3対1と僅差で退け決勝に進んだ。勝負強く勝ち上がってきた浜松曳馬が静岡翔洋中の連覇を阻むのか、注目のカードとなった。
序盤は息をのむ投手戦。四回二死から思わぬ落とし穴。
浜松曳馬の先発羽切君は、初回2者連続三振の好スタート。三回までヒットを許さず、味方のエラーにも抜群のコントロールで要所を締め得点を与えない。一方、静岡翔洋中の松井君は不安定な立ち上がり。先頭打者に死球、ヒットと続きノーアウト一、二塁のピンチ。ここでキャッチャー袴田君が見事な牽制で一塁走者を刺し、初回のピンチを切り抜ける。その後もヒットを許すが、ダブルプレーなどバックの堅い守りもあり、三塁を踏ませない好投が続く。
迎えた四回表静岡翔洋中の攻撃。二死から5番鈴木君がこの試合チーム初となるライト前ヒットを放つ。盗塁で二塁に進むとさらに三盗。これが相手捕手の悪送球を誘いそのままホームイン。あっけなく均衡が破れた。
ミスが明暗を分け、東海大静岡翔洋が6対0で勝利。
1対0とリードすると、松井君のストレートの伸びが更に増し、相手打者はヒットを打つことすらできない。1点を許すも好投を続けていた羽切君だが、六回表先頭打者に死球を与えると、ボークと自らの野選などで無死満塁のピンチに。一死後、今度はサードゴロ悪送球で2失点すると、8番竹田君がダメ押しとなる右中間三塁打を放ち5対0と差が広がった。
七回にもヒットと盗塁で1点追加、投げては松井君が四回以降ヒットを与えず3安打完封、6対0で静岡翔洋中が見事優勝、今大会2連覇を達成した。安打数では3本と5本の差ながら、七盗塁無失策の静岡翔洋中に対し四失策の浜松曳馬、要所での好守とミスの差が明暗を分ける結果となった。
試合後、静岡翔洋中の弓桁監督は「お互いの刺激になる好ゲームだった。羽切君との投げ合いが松井の力を引き出し、好投手を崩す攻撃もでき、夏の本番に向けて良い経験になった」。スコア以上に引き締まった決勝戦に満足していた。
最優秀選手賞には今大会4完封、無安打無得点も達成した松井君、打撃賞は5試合で14打数8安打、打率5割超えの吉田君(東海大翔洋)、敢闘賞は羽切君が獲得した。
「打ち勝つ野球」を掲げる静岡翔洋中でも、好投手を打ち崩すのは難しい。相手の弱点を見極めて攻め込み、バッテリーを中心に守り勝つ野球を見た。夏本番への期待が膨らむナイスゲームだった。