野球が楽しい!個を高め、力を合わせ、選手12人の少人数でも勝つ醍醐味を。

静岡県立静岡西高等学校
野球部

令和元年の夏を最後に、公式戦勝利から遠ざかる静岡西高野球部。昨秋に部員が8人になる危機を助人の加入で乗り切ったチームが、夏を越え大きく飛躍している。来春の県大会出場を目指す選手たちの目は輝いていた。

秋一勝に燃えた選手たち。課題に向き合い急成長。

3年生1人と1、2年生12人で挑んだ夏は、島田商業に2対16の5回コールド負けだった。その約1か月後、新チームは秋季大会初戦で科学技術高校に3対4。5年ぶり公式戦勝利へあと一歩の成長を遂げた。きっかけは夏休み。まず、12人全員の役割分担を決め、道具やネットの管理責任の所在を明確にした。志田監督は「目を配り、気を配り、心を配り、実行する」大切さを選手に説く。そして、ほぼ毎日の1日練習。その中で、選手個々が自分の課題に取り組む時間を設けた。2人一組で互いの課題解決をサポート。主将の岡田翔碁捕手(2年)は、ひたすら送球練習を繰り返し、肩を鍛え、球質を改善。夏までは一つも刺せなかった盗塁を、秋季大会では3回中2回アウトにした。練習試合の後は、出来なかったことを確認し合い、12人それぞれが課題に向き合った。8月に行った沼津の誠恵高校との合同練習では、失敗を恐れず思い切りプレーするメンタルを学んだ。選手たちは嫌な顔一つせず、夏の猛練習を乗り越えた。「秋に一勝したい」と全員が燃えていたからだ。「選手のミスにイライラせず、対話しながらその原因を共有し、アドバイスできるようになった」という志田監督自らの成長も、選手がのびのび楽しく野球できる環境を作った。1年生から実戦で経験を積み、自ら考え個を磨き、思い切りプレーする選手たち。12人中7人が投手も務める。野球が楽しいわけだ。投手兼内野手の鈴木大翔(2年)は「学年関係なく仲が良く、いい雰囲気の中で野球ができている。12人で力を合わせて大人数のチームに勝ちたい」と力を込める。

12人中10人がスポーツコース。様々な種目を体験し、多角的に学ぶ。

選手12人中10人は、静岡県の県立高校では唯一となるスポーツコースの生徒。ゴルフやスキー、マリンスポーツなど様々な種目に触れ、異年齢交流や大学との連携など多角的な視点から、専門的にスポーツを学ぶ。3年生は週31時間中11時間が体育に関連する授業だ。運動好きの学生たちは「色々な競技を体験できるのが特に楽しい」と声を揃える。部活以外にも体力を鍛える時間があるのは、野球にも生きてくる。

現在は、2年生8名、1年生4名。グラウンドを広く使え、1年生から試合に出場でき、楽しく野球ができる環境がここにはあるが、来春に1年生が5人以上入らないと、来秋には再び9人を割ってしまう。それでも今の選手たちにとっては、昨年より多い12人。今よりも強くなり、来春の大会で県大会に出場するのが目標だ。岡田主将は「どうせ西高は初戦で負けると思っている人を、勝って驚かせたい。少人数でも勝てる所を見せたい」と意気込む。そこには言葉だけでなく、全員で厳しい夏を乗り越え、仲間と楽しく野球に取り組み、実戦で手応えを掴んだ自信が漂っていた。


主将・捕手
岡田 翔碁(おかだ しょうご)
OKADA Shogo

清水庵原中学出身。中学から野球を始め、ポジションはキャッチャー。将来は自衛隊を目指し、体力や筋力を鍛えようとスポーツコースのある西高に進学。副キャプテンを経て新チームから主将を務めるチームのまとめ役。守備では投手陣を引っ張り、攻撃では粘り強く出塁する。目標は高くと、県大会出場を目指す。


投手・内野手
鈴木 大翔(すずき だいと)
SUZUKI Daito

服織中学出身。服織野球スポーツ少年団で野球を始め、全国大会も経験。今夏、内野手としては確実な捕球を課題に守備力が向上。投手としては緩急とコントロールで打ち取る投球術を磨いた。「投げて、打って、守って、勝利に貢献できる選手になりたい」とチームの中心選手としての活躍が期待される。

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