母校をひとつにする 「元気」「姿勢」「笑顔」。 夏大に壮行応援にイベントに!勝敗や順位がつかない部活でも、「周りから応援される応援団」を目指して日々活動を続ける。一体感を磨き、選手に力を!

静岡市立高等学校
応援團

勝敗や順位はない、記録も残らない。運動部や学校全体を盛り上げるため、脇役として日々活動を続ける。それが応援団だ。一番の大舞台、夏の高校野球大会に向けて奮闘する静岡市立高校応援團を取材した。

生徒主体、全員がリーダー。チームを変えた「報・連・相」

静岡市立高校応援團は7年前に再開した部活だ。以前は運動部を引退した生徒やダンスが好きな女子生徒が有志で集まり、委員会として夏の高校野球大会(通称、夏大)の応援を行っていた。きっかけは、清水エスパルスの応援が大好きな1年生男子だった。今年から同部顧問を務める水野先生が「応援団をやらないか?」と声をかけ、委員会を指導していた掛川西高応援団出身の森下先生が顧問となり、女子生徒1名を加えた2名でスタートした。その後チアリーダーが誕生し、現在は、学ランを着て応援を仕切るリーダーが男女各1名、チアリーダーは11名になった。

同部のスローガンは「元気・姿勢・笑顔」。選手に勇気や活力を与えるために欠かせない要素だ。森下先生の「部長を作らない」方針を引き継ぎ、今も全員が日替わりで練習内容を考えリードする。昨年から顧問が変わり、生徒主体で夏大の応援を行ったが、上手く意志の疎通を図れない時期を経験。みんなで話し合い「報告・連絡・相談」を書き加えた。チアリーダーの鈴木香帆(3年)は「小さなことも伝え合わないとズレてしまう。全員が何でも知っていて、何でも言い合える雰囲気が大切。大きな学びだった」と振り返る。練習ではリーダー同士の声掛けが盛んになった。学年問わず全員が自分の意見を言える、それが市高らしさなのだ。

声出し再開で臨む最後の夏。記憶に残る最高の応援を。

主な活動は夏大と文化祭のステージだが、最近は全国大会に出場するテニス部やマンドリン部の壮行応援も行う。小学校やイベントなどで披露する機会もあり、活動の幅は広がっている。「今の目標は野球の応援を完成させること。私たちも頑張るから、いっぱい勝ってほしい」と鈴木。応援で使用する全16曲の振りは1年生の6月には覚え、全員が揃うよう練習で何度も繰り返し修正する。目指すのは、一体感とメリハリのある応援だ。夏大に向け、炎天下での練習を増やし、恒例の山登りで体を鍛え、科学技術高校など他校との合同練習で技術を磨く。部で唯一の男子、リーダーの内野馨翔(3年)は「最初は声も全く出ず、振りも全然できなかった。腕や指の角度を意識し、ビシッと決まるように何度も練習した。2年前の映像を見ると、まるで別人」と成長を実感。顧問の水野先生は「人は頑張る人を応援したくなる。周りから応援される応援団になってほしい」とエールを送る。

今年の夏大から声出し応援が再開し、今のメンバーは初めての体験になる。生徒、観客がひとつになった力強い応援は、選手に大きな力をもたらす。応援は学校をひとつにする力がある。記録には残らずとも、記憶に残る最高の応援を。13人に新1年生を加えた市高応援團が、未知の夏に挑む。


リーダー
内野 馨翔(うちの かさね)
UCHINO Kasane


城内中出身。生徒会活動に興味を持ち、中学では副会長。高校1年から生徒会で広報を担当し、両立可能な応援団に入部。高校2年の10月から生徒会長を務めながら、男子唯一の応援団員として、声出し、振りの精度を上げる練習に集中して励む。


チアリーダー
鈴木 香帆(すずき かほ)
SUZUKI Kaho


服織中出身。中学時代はバドミントン部で部長を務め、部員の応援を通じて人を応援する楽しさに惹かれる。高校では運動部のマネージャーも考えたが、応援団の存在を知り同部へ。「色んな部活を応援できるのは楽しい」という根っからの応援団。


 

おすすめの記事

関連記事