創部76年で初のインターハイ出場!山登りの魅力を代々受け継ぐ「歩いてでしか行けない場所がある」

静岡県立静岡高等学校
山岳部

1946年創部の静岡高校山岳部。男子は5月の高校総体県予選で初優勝し、創部初のインターハイ出場を決め、女子は県3位で東海大会に進み、準優勝と大健闘。偉業を遂げたのは、山登りも大会も自ら考え楽しむ部員たちだった。

大会は活動のほんの一部。一番は山登りを楽しむこと。

部員数は男子26名、女子9名。部員全員のTシャツには部に代々伝わる言葉「歩いてでしか行けない場所がある」が描かれている。大会で好成績を収めた同部だが、活動の中心は山に登ることだ。毎月一回、県内の山を中心に登り、今年のGWには標高2763mの北アルプス燕岳(つばくろだけ)へ。秋には学年ごとに部員たちが自ら計画を立てる登山を実施する。高校、大学で山岳部だった顧問4年目の見原先生は「自分たちで考え、山を楽しむのが一番」と生徒の主体性を重視。安全面の配慮や準備の大切さは怠らないよう指導する。日々の練習は生徒たちが考え、活動の中心は学校に近い賎機山だ。その内容は、歩荷(ボッカ)トレーニング、ランニング、体力づくり、天気図の作成、テント設営など多岐に渡る。「山の中での生活は、人との関わり、ご飯の作り方など、社会で生き抜く力を養います。指示待ちでなく、自分の頭で考える力を鍛えてほしい」と見原先生。登山には、仲間と登る、景色を観る、写真を撮る、地図を読む、気候を読むなど、様々な楽しみ方がある。山岳競技も楽しみ方の一つだ。大会への出場を決めるのは生徒たち自身。チームを構成するメンバー4人の選出も部員に委ねられている。

先輩の意志を引き継ぎ県制覇。中学野球出身の3年生3人が牽引。

昨年の男子チームは、インターハイ県予選で山岳強豪校の富士高に僅差で敗れ、富士高は全国優勝を遂げた。今年は、全国を目指す先輩の姿に鼓舞された部長の秋山、先輩の自主練に協力していた副部長の近藤、昨年2年生として唯一出場した市川の3年生3人に2年生を加えた4人がチームを組み、県予選へと挑んだ。3年生3人は中学で野球部に所属。同じ競技を経験した3人の結束は、練習を重ねるごとに固まった。リーダーの秋山、ムードメーカーの近藤、技術に長けた市川、タイプの異なる3人が積極的に意見を交わし、後輩をサポートしながら、技術とチームワークを磨いていった。そして迎えた県予選。互いに声を掛け確認し合い、ミスを最小限に抑えたチームは、前年全国制覇の富士高に勝利し、創部初のインターハイ出場を決めた。「4人のバランスが良かった」と見原先生。自身もインターハイ出場経験者だが、アドバイスを求められた時だけ助言し、温かく見守った。卒業した先輩にも相談していた近藤は「先輩や先生の支えが大きかった」と感謝する。「目標は全国優勝です」と秋山。それでも「一番の思い出は、仲間と苦難を超えて辿り着いた燕岳で見た雲海」と声を揃えた二人。歩いてでしか行けない場所で見た最高の景色が一番の宝物だ。


男子部長
秋山 慶季(あきやま けいき)
AKIYAMA Keiki


安東中出身。登山好きな母親と幼少時から山登りを経験。高校から本格的に登山をやろうと同部へ。登山競技の存在を入部後に知り、頑張る先輩たちの背中を見て、3年から競技に挑戦しようと決意。リーダーとして常に声掛けを意識し、個性豊かなメンバーを引っ張る。
登山の魅力は「仲間と一緒に登る楽しさと達成感」


男子副部長
近藤 悠貴(こんどう ゆうき)
KONDO Yuki

静岡南中出身。元々アウトドアが好きで、勉強と部活を両立でき、自然と触れ合える山岳部に入部。悔しい思いをした先輩たちと仲が良く、「来年こそ富士高を倒して全国へ」と大会メンバーに。持ち前の明るさでチームの緊張を和らげる。山岳部は「仲間との協力の大切さを学び、歩いてでしか行けない色々な体験ができた場所」

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