3大会連続6度目の県総体制覇。静岡県代表の座は譲らない。中部地区予選3位からの大躍進劇。

静岡市立清水桜が丘高等学校
男子ハンドボール部

学校設立9年で6度目のインターハイ出場を決めた清水桜が丘高校男子ハンドボール部。清水商業高時代から県内のハンドボールを牽引してきた同部には、県ナンバー1の座を絶対に渡さないという強い信念があった。

春の選抜県予選は3回戦敗退。打倒!御殿場を合言葉に。

これまで県内の男子ハンドボールは、経験豊かな指導者の下、清水桜が丘、清水東、静岡農業の静岡市内3校がリードし、その中でも桜が丘の強さが際立つ。しかし、今年のチームは決して順風満帆ではなかった。春の選抜県予選(新人戦)では、ジュニア世代の育成を進めてきた御殿場高校に26対11と完敗。御殿場高は勢いそのまま、選抜県代表を勝ち取った。「正直、インターハイに行けると思わなかった」と当時を振り返る花村亮太キャプテン。それだけ力の差は歴然だった。御殿場を倒さなければインターハイには行けない。チームは打倒!御殿場を合言葉に練習を重ねたが、県総体中部地区予選準決勝で清水東に敗れ、中部地区3位。今年は難しいという空気が漂う中、「僕らは期待されていない代。絶対にインターハイに行って見返してやろうと思った」というエースの戸田遼太(3年)を筆頭に、選手たちは諦めていなかった。そして、同部OBで18年前(清水商業時代)に全国ベスト16だった大石将夫氏が4月後半からコーチに加わり、チームは変わっていった。

徹底した組織ディフェンスの強化。高い吸収力と諦めない心が結実。

総体県大会まで1カ月という短い期間で磨いたのはチームディフェンス。組織的に守るための決めごとを徹底し、ビデオ分析をしながら選手たちとミーティングを重ね、対戦相手の守るべきポイントを確認し続けた。「とにかく真面目な子たち。吸収力が高く、諦めない気持ちも強かった」と大石コーチ。チームは“僅差で守り勝つチーム”へと成長した。そして、事実上の決勝と位置付けた御殿場との準々決勝を12対10で勝利。全員が連動し、選抜予選の失点の半分以下に抑えた。準決勝は地区予選で2度敗れた清水東に18対17と接戦を勝ち切り、決勝の静岡農業戦は24対15の圧勝だった。「静岡県代表の座は譲らない」。指導者と選手の強い信念、諦めない気持ちが、頭と体のハードワークを可能にし、実を結んだ。自分たちの可能性を信じ、周りに感動を与えた瞬間だった。GKの山田一翔(3年)は自主的にSNSで試合レポートやハンドボールのルールや魅力を発信する広報担当を務め、「選手同士の仲が良く、互いに助け合いながら成長してきた」とチームの魅力を語る。何でも言い合える関係、選手の主体性も強さの秘密だ。「目標は全国で一勝」と花村キャプテン。昨年の先輩が2度挑戦して叶わなかった勝利を、全員で掴みに行く。


キャプテン
花村 亮太(はなむら りょうた)
HANAMURA Ryota


竜爪中出身。中学ではバスケット部。ハンドボールは得点の入り方が多すぎず少なすぎず面白そうと同部へ。人生初キャプテンを務め、練習中は厳しく、終われば和気あいあいのチームを引っ張る。ポストプレーを得意とするセンター。「全国の舞台で点を決めたい」


ゴールキーパー兼広報担当
山田 一翔(やまだ かずと)
YAMADA Kazuto

清水六中出身。中学は陸上部で短距離と砲丸投げ。就職率100%の桜が丘で商業の勉強をして、地元に貢献できる人間になろうと同校へ。先輩のプレーを見て「かっこいい」と、キーパーを希望。「怖いこともあるが、顔面に当ててでもチームの勝利に貢献したい」


右45
戸田 遼太(とだ りょうた)
TODA Ryota

清水八中出身。中学時代は野球部。スポーツが大好きで、全国に行けるチームを求め同部へ。右サイドからシュートを狙う点取り屋。相手のブロックをかわすテクニックに長けるチームのエース。「入学当時に夢見た全国の舞台。チームプレーで勝利を掴む」

Instagramでは取材風景も公開中!

おすすめの記事

関連記事