近年、東京大学や医学部をはじめ、早稲田、慶応、上智、東京理科など有名大学への進学者が続出する静岡サレジオ高校。文武両道を基本とする同校の女子バレー部が、昨年12月の中部地区大会で初優勝を飾った。その強さの秘密は、選手主体の飽くなき向上心だった。

静岡サレジオ高等学校
女子バレーボール部

短い練習時間でも上手くなる。
やらされるバレーはしない。

顧問の村木亮先生が就任した7年前は中部地区大会1回戦負けのチームだった。それが2年前には県ベスト4、今年のチームは初めて中部地区を制し、今は全国大会出場を目指している。それでも、「バレーが一番ではありません」と村木先生。東海大一高(現:静岡翔洋高)時代に総体、春高バレーで全国出場し、静岡翔洋高男子バレー部を指導した後、プロの競輪選手として活躍した異色の経歴を持つ先生が目指すのは「みんなから応援されるチーム」だ。勉強も学校行事もしっかりやって、学校全体を引っ張る存在であって欲しいと願う。毎日1時間50分かけて小山町から通うキャプテン室伏ありす(2年)は、上智大学への進学を目指している。
平日の練習時間は平均1時間半~2時間。テスト期間中は、2週間丸々部活は休みだ。短い練習時間で力をつけるための工夫は「詰め込みすぎない事」。例えば、今日はサーブカットと決め、できるまで徹底してその精度を磨く。女子バレー部と同じ指定強化クラブの陸上部と一緒にトレーニングし、体の使い方を学んだり、バレーに必要な筋力を強化する。やらされるバレーはしない。上達することを選手自身が楽しむ。村木先生が不在時の練習も、室伏中心にいつも通り。20分程の自主練時は、みんなで「もっとこうやってみよう」と更に熱が入る。そこが最大の強みだ。

平均身長170㎝超えのブロック。
強豪・富士見高と決勝で戦いたい!

部員は2年生7人、1年生6人と決して多くないが、13人中、身長170㎝以上が5人、平均身長は170㎝を超える。チーム最大の強みは高さを生かしたブロックだ。171㎝の花村心寧(2年)は高校1年からミドルブロッカーに転向し、その才能を開花させた。175㎝のミドルブロッカー岸端涼香(2年)は今年度の東海地区長身者合宿に参加した、同ポジションのスペシャリスト。最近は速攻の精度が安定してきた。そして、ブロックにかけて、みんなで繋いだボールをエースでレフトの室伏が確実に決める。チームの中心となる3人は、「バレーは1人ではできない。チームプレーが一番楽しい」と声を揃えた。声を出し合い団結し、ミスをカバーし合い、仲間のために必死になる。そうやって掴んだ勝利は格別だという。1月の新人戦中部地区決勝は島田商業に敗戦。県大会進出は決めていたが、大会は中止となった。今の目標は、高校生最後の夏となるインターハイ県予選の決勝で、絶対王者、春高バレー9年連続出場中の富士見高校と対戦し、勝利することだ。勉強でもバレーでも、向上心を絶やさない。二刀流をやり切る力は、将来必ず役に立つ。何よりも、彼女たちは、それを心底楽しんでいる。

 


キャプテン・サイドアタッカー #1
室伏 ありす(むろふし ありす)
Murofushi Alice

小山中出身。身長171cm。小学4年生からバレーを始め、中学時代に静岡県選抜メンバー。同部の明るく楽しい雰囲気に魅かれ、志望大学進学を叶えるため同校へ。高校からサイドアタッカーに転向し、「みんなで繋いだボールは絶対に決める」と高い決定率を誇る。プレッシャーに負けない、チームの精神的柱で、強い責任感を持つ。(写真中央)


ミドルブロッカー #3

花村 心寧(はなむら ここね)

Kokone Hanamura

静岡東中出身。身長171cm。バレーは小学4年生から。中学時代はレフトアタッカーとして思うような結果を出せず、レベルの高い所でもっと技術を磨こうと先輩がいる同校へ。1年冬からセンターに転向し、「相手のスパイクは全部止める。ブロックでチームを救う」と意気込む。将来の夢は保育士になること。(写真右)


ミドルブロッカー #2
岸端 涼香(きしばた すずか)
Suzuka Kishibata

吉田中出身。身長175cm。小学5年生からバレーを始め、中学時代はクラブチームで腕を磨き、先輩のいる同部の練習の雰囲気を見て同校進学を決意。毎日片道1.5時間をかけて通学する。「Aクイックは安定してきた。CやB、ブロードも磨き、速攻の幅を広げて相手のブロックをかわしたい」と打倒富士見に闘志を燃やす。(写真左)

 


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