春高バレー県予選決勝の劇的な逆転勝利により、2年振り2回目の全国大会進出を決め た清水桜が丘高校男子バレー部。絶対的エースも有名選手もいない公立校のチーム が、2021年度の県大会を全て制覇した。この強さはどこから来たのか?話を聞いた。

静岡市立清水桜が丘高等学校 男子バレー部

鉄壁の守りと速いバレーを武器に、新人戦中部3位から大きく成長。

2年前、絶対的エース山田大貴(現:早稲田大)を擁するチームは、同部として初めて春高バレー全国出場。2回戦敗退後、当時1年生だった3年生は監督と「2年以内にもう一度ここに戻って来よう」と誓い合った。しかし、最高学年で迎えた昨年春の新人戦は中部3位。守りのチームが守りのミスで敗れた。「あの敗戦で選手たちの目の色が変わった」と牧田監督。戸塚大貴(3年)主将を中心に徹底的にレシーブを磨いた。「戸塚は全国でも5本の指に入るリベロ。戸塚にボールを誘導すれば必ず上がる」とブロック陣形など守備の形を確立。レシーブ巧者の望月寛太(3年)、エース小池嵩也(3年)を加えた鉄壁守備トリオを軸に、「ボールを落さなければ負けない」と全員のレシーブ力が向上した。セッター橋本大和(2年)の経験不足は、コロナ禍で減った実戦の場を練習量でカバー。毎日千本以上のトスを上げ、自主練でも徹底してトスを磨いた。高校での主流は速いバレー。ブロックをかわす速いトスワークが鍵になる。「橋本の成長が大きかった」と牧田監督。高校総体では、県内私立強豪校を次々と撃破し優勝。高校、大学、社会人で決する天皇杯でも、大学チーム相手に接戦を制し静岡県の頂点に。両大会共、決勝は1セットダウンからの逆転勝利だった。

体力勝負なら絶対に負けない!自信が生んだ決勝での大逆転。

チームに中学県選抜メンバーは1人もいない。平均身長183㎝だが、最高は185㎝と圧倒的な高さもない。それでも、強豪私立や大学生に勝ち続けた。練習は平日に週4日、週末は遠征に出て県外強豪校とも対戦する。「1年の時から全国レベルを間近に見れたのが大きい」と小池選手。牧田監督が重視するのは、「誰よりも低く構え、動く、戸塚が一番の手本」というレシーブの構え。全員が動きの中で自然と構えができるよう指導する。火曜日に同校で行うバレー教室では、選手たちが小中学生に指導。自分の中でしっかり消化していないと伝えられないからだ。そして、後半の強さにつながったのが練習前のロードワーク。毎日10㎞、監督、コーチと一緒に走ってから練習に入る。「日本一走ってきたチーム。体力勝負なら負けない」と戸塚主将。迎えた春高バレー県予選決勝前日、練習メニュー終了後、戸塚は「ブロックの確認をしたい」と監督に申し出た。自らやるべきことを理解し行動する選手たちを、牧田監督は「いいチームになった」と喜んだ。浜松日体高との決勝戦は2セット先取され、絶体絶命だった。しかし、第3セットに入り相手選手の足がつり出す。長期戦になれば負けない。このセットを取った桜が丘は第4、5セットも競り勝ち逆転勝利。選手たちは2年前の誓いを果たした。逆転の桜が丘が全国の舞台へ。後輩たちは、その姿を目に焼きつける。それが、来年、再来年へとつながる。


小池 嵩也(こいけ たかや)
Takaya Koike
焼津市出身。バレーは小学5 年から。2 年上の先輩を見て桜が丘へ。身長182cm のレフトアタッカー。「気持ちが乗った時のスパイクは、どんな相手にも決める自信がある」とゲームキャプテンとしてチームを牽引。桜が丘の全員バレーを象徴するレシーブ巧者でもある。「このチームで一つでも多く勝ちたい」と先輩越えの全国ベスト16を目指す。

 

 

 


戸塚 大貴(とつか たいき)
Taiki Totsuka
袋井市出身。小学2 年からバレーを始め、小6、中3 時に全国大会出場。高校でも全国へと桜が丘へ。1年生からリベロとして出場する絶対的守備の要。先輩たちが作った明るい雰囲気を引き継ぎ、全員で声を掛け合い、どんな状況でも諦めないチームを引っ張る。「社会人でもバレーを続ける。やるからには勝ちたい」。根っからのバレー好き。

 

 

 


 

 

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