神奈川県で行われた今年の全中体操競技、種目別の床で全国1位に輝いた選手がいる。城南静岡中3年の工島佑心君だ。

城南静岡中学校3年 清水ペガサス体操クラブ所属
工島 佑心(くしま ゆうしん)選手

神奈川県で行われた今年の全中体操競技、種目別の床で全国1位に輝いた選手がいる。城南静岡中3年の工島佑心君だ。Dスコアの技を何度も繰り出し、最後の大技3回転ひねりの着地をピタリと決め、全国の予選を勝ち抜いた中学生112人の頂点に立った。体操は3歳から、先に始めた1歳上の兄の楽しそうな姿を見て始めた。最初は週2回の遊び感覚だったが、賤機北小にあがった1年生から清水区にある清水ペガサス体操クラブに週6日通い、本格的に取り組み始めた。「低学年の頃はいつも兄に負けていました。それが悔しくて」と練習に励む毎日。清水ペガサスには6歳上の憧れの先輩もいた。東京五輪の体操団体代表最終選考で惜しくも代表入りを逃した三輪哲平選手(順大3年)だ。当時中学生だった三輪選手の全国レベルの技を身近に見ながら、自分も新しい技に挑戦していった。小学校高学年になると個人総合点で兄に勝ち、小6の時にはU12全国大会の床で3位になった。

強い脚力と技への探求心。オリンピックに出たい。

中学は三輪選手や兄と同じ城南中に進んだ。中1の時、兄と一緒に優勝を目指して挑んだ全中団体は全国4位に終わった。「自分のミスが原因でした。とても悔しかった」。そこから練習への取り組み姿勢が変わったという。失敗の原因を追究し、何度も繰り返して技の完成度を上げていった。「工島君は脚力が強く、難易度の高い技を多く持っていて、何よりも志が高いです」と城南中体操部顧問の藁谷先生。体操の魅力を「新しい技ができた時の楽しさ」という工島君は、清水ペガサス指導者の寺尾さんや同じクラブの体操仲間の存在が大きいと感謝を忘れない。個人総合は得意の跳馬で失敗し、目標の上位進出はならなかったが、彼には悔しさをバネに変える力がある。先のことはあまり考えていないといいながら「高校で活躍できる選手に。オリンピックにも出たい」と前をしっかりと見据えていた。持ち前の脚力と技への探求心が、新技「クシマ」を生み出すかもしれない。

 

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