鼻ムズムズで 活躍できますか?
子供のために大人が知っておくべきこと
鼻ムズムズで活躍できますか?
多くの日本人がティッシュの箱を手放せなくなる、厄介な花粉症の季節が今年も近づいています。くしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみは典型的ですが、咳や、皮膚や耳の穴の中のかゆみ、頭痛や発熱まで、多彩な症状に悩まされます。こんなことでは練習や試合に集中できませんし、疲労回復もままなりません。薬も適切に用いないと、思わぬパフォーマンスの低下や、こどもではステロイドの内服薬による成長障害などの副作用、トップアスリートではドーピングの問題も関わってきます。
かつては、マスクやゴーグルをして、自分に合った薬を見つけよう!というくらいしか手がありませんでした。“症状を少しでも和らげる”対策でした。
数年前より、“症状そのものを出ないようにする”治療法が登場しています。花粉にからだを慣らしてしまおうという考え方です。舌べらの下に薬を置いて1分間のガマンを毎日継続するもので、「舌下免疫療法」と言います。スギ花粉症用と、ダニが原因の通年性の鼻炎用と、2種類あります。
20年来花粉症と格闘してきましたが、おかげ様でここ3シーズンは幸せな日々を過ごしています。通年性の症状に対するダニ用の治療で、鼻炎だけでなく蓄膿症や喘息、アトピー性皮膚炎まで治ってしまった小学生スイマーもいます。ドーピング検査も心配ご無用です。
ただし、年単位で毎日継続する根気は必須ですし、効かない人や副作用が出てしまう人もいて、誰にとってもバラ色というわけにはいきません。それでも、鼻ムズムズは仕方ない、花粉が飛ばなくなったらがんばろう、とあきらめているのなら、一度専門医に相談してみる価値はあるかも知れません。
文・田中敏博
<プロフィール>
田中敏博。静岡市葵区出身。小児科医。 静岡厚生病院小児科、勤務。 小学校から現在までバスケットボールを続ける。 (公財)日本スポーツ協会公認スポーツドクター。(一社)静岡県バスケットボール協会理事 兼、スポーツ医科学委員会委員長。
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