静岡市立 南中学校サッカー部

サッカー本来の面白さを求め、「見る力」を鍛え、正しく勝つ。

公立中ながら昨秋の新人戦で県大会に出場し、ベスト16に入った南中サッカー部。
南中の勝ち方、負け方にこだわるサッカーとは? 中学サッカー指導歴23年の森先生に聞いた。

見る、感じる、考える先に駆け引きの楽しさがある。

「サッカーを楽しく、サッカーで協力する、サッカーで競争する」がモットーの南中サッカー部。3年生15人、2年生9人の選手たちは、まだ小柄な選手が多い、それでも県大会に勝ち上がるのは、サッカーを「見る力」を磨いているからだ。森先生が重要視するのは「見えることと、見ておくこと」「敵が見える、味方が見える、ゴールが見える。見えることで初めて思考力が高まり、そこに駆け引きの楽しさがある」。選手たちにサッカー本来の面白さを感じて欲しいからこそのこだわりだ。
目指すのは、みんなが協力しながら守って攻めるサッカー。飛び抜けたスーパースターはいなくても、選手間のアイコンタクトや相手の隙を見逃さない目があれば、強豪校とも互角に渡り合える。それがサッカーの持つ魅力だ。

短い時間を工夫でカバー。ひらめきや判断力を磨く。

限られた練習時間の中で「見る力」を強化する練習は独特だ。ボールを守りながら相手を捕まえる鬼ごっこやビブスの色を多色にすることで、周りを見ての一瞬の判断やひらめきを鍛える。ゲーム感覚の面白さも加わり、選手たちは真剣ながらも楽しそうだった。
もう一つは、ボールと体の一体感を高めるボールフィーリングの強化だ。使うのは手作りの眼帯と紙製の小さなボール。「ボールを触る瞬間に使っているのは効き目だけ」と、効き目を使ったリフティングでボールの中心を捉える目を養う。
「体格やスピードは歳が経てば追いつく。その時に鍛えあげた目が活きてくる」と森先生。選手たちも、その狙いを充分に理解しているから伸びる。その磨いた目とボールフィーリングがチームを強くするのだ。

自分達のサッカーで、正しく勝つ、正しく負ける。

南中には「正しい負け方」がある。見る力がどう足りなかったに気付けることができた負けだ。それを選手だけで話し合い次に活かしていく。そして、県大会進出を決める、ここぞというときに、自分達のサッカー「見る力」で勝つのが目標だ。そこには南中サッカーがある。
「しびれる試合で強豪校相手に、選手同士が周りを見て、目でお互いを感じ判断しひらめき、相手の裏にパスを通してゴールすることができれば理想」と森先生。頑張った経験が一生の思い出になるためにも、しびれる経験をした方がいいという。

4人のキャプテンで、県大会出場を目指す。

中学になって「サッカーが面白くなった」「本当のサッカーがわかってきた」と話すのは、竹内君、平岡君、長島君、村田君、4人のキャプテンたち。4人いるから色々な意見が出てチームとしてベストな答えを出せる。「どこが相手でも自分達のサッカーをして正しく勝つ」と口を揃える。目標は県大会へ行くことだが、決して簡単ではない。そう冷静に分析する4人の目は、言葉にせずとも「絶対に行く」と語っていた。

中体連の県大会出場は、強豪私立3校を考えれば、34校中3〜4校の狭き門。「見る力」を磨いた南中のトータルフットボールが、その難関を突破できるかどうか注目したい。

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