「すべての力をチームのために」 総勢130人超えの部員が結束し、サッカーのまち清水から全国を目指す。
静岡市立
清水桜が丘高等学校
サッカー部
選手権全国制覇3回、多くのJリーガーや日本代表選手を輩出したサッカー強豪校の清水商業高校と県立庵原高校が統合し、2013年に誕生した清水桜が丘高校。10年目を迎えた同校サッカー部の今を取材した。
人工芝グラウンドで切磋琢磨。
本気で全国を狙う選手が集結。
広大な人工芝グラウンドでサッカーに熱中する選手たち。公立高校でありながら、その恵まれた環境は、サッカーのまち清水を象徴する光景だ。部員は、3年生51人、2年生37人、1年生は45人が入部予定と、130人を超える。チームは、プリンスリーグ東海、静岡県Bリーグ、静岡県中部地区一部リーグの3リーグに参加し、チーム内での競争も盛んだ。以前の清水商業高時代のような、県内トップ選手やプロを目指して他県から来る選手はいない。ある意味、中学までにプロへの道を断たれた選手たちが、全国を狙えるチームを求めて進学してくる。それでも、静岡学園や藤枝東など強豪がひしめく静岡において、9年間で3度の全国大会出場、プリンスリーグ東海優勝を成し遂げた。2017年には、同グラウンドで活動する中学生チーム、FC桜が丘ジュニアユースがスタート。そこから同校に進学した第一期生が、今年3年生になる。キャプテンの鈴木貴仁(3年)もその1人。「小学生の頃から、地元清水の桜が丘高で全国優勝を目指してサッカーがしたかった」と、総体、選手権での県制覇を目指す。清水エスパルスSS静岡出身の石川瑠紀(3年)は、「全国に通用する練習ができる、自分が成長できる場所」と同校を選んだ。
基礎を徹底、磨くスピード感。
サッカー自体の面白さを追求。
チームを指揮する片瀬晴城監督は、清水東高OBで1982年に全国制覇した時のメンバー。清水商業時代から24年間指導に携わり、今年で監督5年目を迎える。止める、蹴るなど基礎練習から、サッカーの基本となるディフェンスや攻撃の形まで、まずは当たり前のプレーを徹底する。土台がしっかりしていることが、サッカー本来の面白さにつながるからだ。「最初は細かく指導しますが、最後は選手に任せるのが理想です」と片瀬監督。目指すのは、しっかり守って、速い攻守の切り替えでゴールを狙うカウンターサッカー。判断やアクションのスピード感が鍵となる。一人で状況を打開するスーパースターはいない。全員が自分の役割を全うし、声を合わせて一つになることで勝機が見えてくる。昨年のインターハイ、選手権は、県ベスト8に終わった。合言葉は「すべての力をチームのために」。練習前のミーティングでは、全国の舞台を知る監督が、集団行動とは?なぜ声を合わせるのか?を選手たちに説いていた。サッカーのまち清水から再び全国へ。130人超えの部員全員が本気で結束した時、それが現実となる。
キャプテン
鈴木 貴仁(すずき たかひと)
SUZUKI Takahito
興津中出身。小学3年からサッカーを始め、中学時代はFC桜が丘に所属。ヘディングを得意とし、高校からセンターバックに転向した。「部員数が多いので、学校に与える影響も大きい。学校生活でも見本となるよう、みんなから応援されるチームを目指します」と人生初キャプテンを全うする。
サイドバック
石川 瑠紀(いしかわ るき)
ISHIKAWA Ruki
東豊田中出身。小学1年からサッカーを始め、T&T、清水エスパルスSS静岡を経て同校へ。1対1に強く、左足からの精度の高いクロスを武器に持つサイドバック。「チームとしてはまだまだ。攻守の切り替えを早く、まずはやるべきことができるように。高校最後の代、必ず全国に行く」と高みを目指す。