男女共学となった2005年に創部し、3学年で約80人の大所帯となった静岡城北高校サッカー部。これまでの最高戦績は県ベスト4。一昨年の新人戦では県ベスト8。歴史の浅い、公立高校のチームが、サッカー名門高校に挑戦し続けている。

静岡県立静岡城北高等学校
サッカー部

スーパースターはいない。
上を目指して努力し続ける。

現在の部員数は、2年生29人、1年生20人、マネージャー4人の53人。選手たちのほとんどは静岡市内の中学出身で、地元のクラブチームや部活のサッカー経験者だ。静岡翔洋中学や清水エスパルスSSの出身もいるが、決して中心選手ではなかった。「試合に出て活躍したい」思いから、同校に進学した選手も多い。「スーパースターはいませんが、個性豊かな選手が集まっています」という梅田和男監督は、清水東高が1982年度に全国制覇を遂げた時のレギュラーメンバー。「サッカーを通じて、上を目指して努力を継続することの大切さを学んでほしい」と今年で指導4年目を迎える。練習は、止める、蹴るといった基礎が中心。サッカーでは、選手個々のボールコントロール力がゲームを左右するからだ。やらされ感の中では上達しないと、怪我により戦線離脱中の渡邉望キャプテン(2年)を中心に、選手たちが練習メニューを考える。渡邉は今、部員たちに「何のための練習か」を理解させるコーチの様な存在だ。フォーメーションを決めるのも選手たち。最近、これまでの4-2-3-1を、みんなで話し合って、3-4-2-1に変更した。

強豪との対戦で磨いた守備力。
まずは目の前の試合に勝つこと。

チームは現在、高円宮杯U18サッカーの静岡Bリーグに属し、清水東や静岡翔洋などの強豪校と戦う。2021年は全敗の最下位。本来の力的にはCリーグというが、格上のチーム相手に守備力を磨いていることが、インターハイや選手権の予選で力を発揮する。全員でしっかり守ってカウンターアタックを仕掛け、昨年の選手権県予選はベスト16まで進んだ。決勝トーナメントに進む16校には、全国大会出場歴を持つ錚々たる顔ぶれが並ぶ。サッカー王国静岡でベスト8に残るのは至難の業だ。3年生のほとんどはインターハイで卒部するため、選手権には2年生以下で挑んだが、1回戦で優勝校の静岡学園と対戦し、0対6の完敗だった。チームで中心となるのは、リーダーシップを発揮し始めたセンターバックのキャプテン渡邉、声出しでチームを鼓舞するヘディングに強いディフェンダー出雲伯翔(2年)、小柄ながら豊富な運動量で得点に絡むトップ下の平岩颯(2年)は、サッカーに取り組む姿勢が熱い。3人以外にも個々に強みを持つメンバーが連動し、全員で守って攻める全員サッカーで、強豪校と勝負するのが城北サッカーだ。昇格チームの増加など、様々な要因が重なり、静岡Bリーグへの残留が決まった2022年。「まずは目の前の試合に勝つこと」と渡邉キャプテン。格上チームに勝つための努力を継続すれば、いつか壁は破れるはずだ。先輩たちが成し遂げた県ベスト4を越えれば、チームの歴史が塗り替わる。


キャプテン
渡邉 望(わたなべ のぞむ)
Nozomu Watanabe


富士宮市出身。小学2年生からサッカーを始め、静岡翔洋中へ。中学時代は試合に出れず、もっと自分に厳しくとBリーグで戦う城北高に進学。ミスの少ない安定した守備が持ち味のディフェンダー。今はグラウンド外でチームを引っ張りながら、「まずはケガを治して、レギュラーの座を掴む」と闘志を燃やす。(写真中)


平岩 颯(ひらいわ はやと)
Hayato Hiraiwa


清水七中出身。サッカーは小学1年から。清水エスパルスSSから城北高校へ。緩急のあるドリブルと仲間を使ったパスワークで得点を演出する攻撃的MF。大会を通じて1得点に終わった昨年の反省を生かし、「目標は1試合1得点」と意気込む。勝利に貢献したい意欲とサッカー愛に溢れる選手。(写真左)


出雲 伯翔(いずも はくと)
Hakuto Izumo


服織中出身。小学3年生から城内FCでサッカーを始め、中学2年生の時にフォワードからディフェンダーに転向。身長175cmながらヘディングを得意とし、ハイボールの競り合いでは負けない力を持つ。「強豪相手に負け試合が多いが、学ぶことは多い」と、守備の要としてチームを勝利に導く。(写真右)


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