アスリートの 振る舞い

子供のために大人が知っておくべきこと

アスリートの振る舞い

 新型コロナウイルスにより、小学生から大学生、成人までも、スポーツ活動の自粛を求められています。中体連、インターハイ、甲子園などの大きな大会が中止となり、東京オリンピックも延期されました。心にぽっかりと穴が開いたような気持ちのアスリートは少なくないことでしょう。

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 1980年に当時のソ連・モスクワで開催されたオリンピック。政治問題の影響で、日本は参加をボイコットしました。今回のコロナと同じで選手には何の非もありません。テレビを通して見た、参加を懇願する選手達の涙が忘れられません。柔道の山下泰裕選手、マラソンの瀬古利彦選手の姿もそこにありました。彼らは今も“幻のオリンピック代表”と称されます。

 その後のオリンピックで金メダルに輝いた選手や、メダルには手が届かなかったがオリンピック出場を果たした選手もいます。指導者として成功した方、引退後の第二の人生で輝いた方もいます。

 山下さんは現在のJOC:日本オリンピック委員会の会長(1984年ロサンゼルス、優勝)、瀬古さんはマラソンの強化リーダー(1984年ロサンゼルス、1988年ソウル、出場)で、アスリートの一番の応援団です。

 1980年のオリンピック代表は幻となりましたが、スポーツに打ち込んだ彼らの存在、その後の彼らの人生は、決して幻ではありません。

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 部活動であれ、プロであれ、大会がなくなってしまった今、アスリートがどう振る舞うか、問われます。目標を見失わず、あるいは切り替えて、再びがんばれるかどうかが試されています。からだと共に心を鍛える、アスリートとして、一人の人間として、大切な時間です。

文・田中敏博

 


<プロフィール>
田中敏博。静岡市葵区出身。小児科医。 静岡厚生病院小児科、勤務。 小学校から現在までバスケットボールを続ける。 (公財)日本スポーツ協会公認スポーツドクター。(一社)静岡県バスケットボール協会理事 兼、スポーツ医科学委員会委員長。

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