静岡ガス野球部 天皇賜杯46年ぶりの優勝! 社会人軟式野球の頂点に。

好きだから一生懸命になれる。
プロだけがゴールじゃない。
働いていたって日本一!

令和元年9月、社会人軟式野球の日本一を決める天皇賜杯第74回全日本軟式野球大会が長野県で行われ、県代表の静岡ガスが46年ぶり2度目の優勝を果たした。全国の予選を勝ち抜いた全56チームによる負ければ終わりのトーナメント。初戦を延長戦で勝利し、決勝は1対0の接戦を制する粘り勝ちだった。「四年前から掲げるチームスローガン『驕らず謙虚に一生懸命』を胸に、選手たちが練習を積み重ねた成果」と車谷監督。県予選から10連勝で日本一の栄冠を掴んだ。

静岡ガス野球部は、67年前に社内リクリエーションの事業所対抗戦をきっかけに誕生した選抜チーム。監督、コーチを含む部員20人は、仕事内容や勤務時間、条件面など、他の社員と何も変わらない。ほとんどが県内出身者で大学まで野球を続けた部員たちは、「仕事との両立は大変。でも、大人になっても競技野球に熱中できるのは幸せ」と週5日の練習に励み、天皇賜杯と国体の日本一を目指す。国体では平成13年に優勝を遂げている。

静岡が好きだから、 野球が好きだから。

近年は、小中学生への野球指導など地域貢献にも力を入れている。今年1月には、「静岡市部活動応援隊」として市内の中学生を対象に野球教室を実施し、約90人の野球部員が集まった。来年も1月下旬に開催を予定している。「野球をずっと続ける子が少しでも増える機会になれば嬉しい」と車谷監督。

学童も部活も、プロも社会人も同じ野球。レベルは違えども、その魅力は変わらない。グラウンドで一生懸命に白球を追う選手たちの姿は、「野球が好きだから」と楽しそうに笑っているようだった。地域に根差した日本一の野球チーム「静岡ガス」。その存在は静岡野球の未来に欠かせない。

静岡の子どもたちに 伝えたいこと

静岡ガス野球部 車谷 芳紀 監督

車谷 芳紀
新潟県出身。松商学園高、大東文化大を経て、2005年静岡ガス入社。 選手、コーチとして活躍後、2016年から同部監督。 2歳の娘が可愛くてたまらない37歳。

小学生から野球を始め、将来の夢はプロ野球選手でした。中学生までは自分が一番上手いと本気で思っていましたが、高校に入ったら周りは凄い人ばかり。自信はすぐにへし折られました。でも諦めなかった。絶対にレギュラーを獲る。体も足も、特別優れたモノがない私ができることは、少しでも上手く、速く、正確にできるように、誰よりも練習することでした。そして、3年生の夏に「8番サード」で甲子園へ。県大会決勝は今回の天皇賜杯同様、9回2死からの逆転勝ちでした。野球の醍醐味です。あの感動は一生忘れません。  プロ野球選手は諦めましたが、大学4年間も野球中心の毎日。静岡ガスに来る前は「軟式か」と思いました。でも、真剣に練習に取り組む選手たちの姿を見て「硬いも柔らかいも関係ない。これが野球だ」と目覚めたんです。まさか自分が監督になって日本一になるとは思いませんでしたが、これまで競技野球を続けてきて本当に良かったと思います。やっぱり野球が好きなんです。  野球に限らず、一生懸命頑張った先には何かがある。勉強でも遊びでも、やりたいことに真剣に取り組むこと、そのものに価値がある。そう信じています。結果は後から必ずついてきますから。

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