昨秋の新人戦県大会団体で、男子ベスト8、女子ベスト16の科学技術高校バドミントン部。経験が大きく左右するバドミントンにおいて、高校から競技を始める選手も多い同部が目指すものとは。

静岡県立科学技術高等学校
バドミントン部

厳しい練習も仲間と乗り越え、
経験者に勝利する醍醐味を。

2008年に、静岡工業高校と清水工業高校を再編成し開校した県立科学技術高校。バドミントン部は、現在女子チームを指揮する大澤俊幸監督が、静岡工業時代の1996年に作った同好会を母体に始まった。同部に長く携わる大澤監督がいることで、卒業生たちが部員を指導する機会も多い。男子監督の坂下裕基教諭も大澤監督の教え子だ。2、3年生部員は、男子14人、女子8人の大半が競技初心者というが、練習で見る力強さは、経験の浅さを感じさせない。それが積み上げたトレーニングの重さを物語る。コーチ資格を持つ坂下監督の指導はフィジカルが中心だ。バドミントンで大事なフットワークや下半身、スタミナ面の強化を、インターバル競技に応じた科学的理論に基づいて行う。練習内容は初心者も経験者も同じ。辛いメニューも部員同士が声を掛け合いながら乗り越えてきた。

東海高校総体の団体は県3位までが東海大会に進むが、男子はこれまで複数回出場。昨年は県4位と後一歩だった。女子はまだ東海大会出場歴がないが、4月から経験者の1年生、男子4人女子2人が加わり、創部初となる男女同時出場を目指している。バドミントンは県東部の高校が強く、新人戦では男女共に、東部の強豪・星陵高に屈した。高校から始めた男子主将の望月飛勇(3年)は「経験者を倒さなければ県の上位には行けない。挑戦し甲斐がある」と目を輝かせた。

男女共に、Wエースが牽引。
合宿で決意を新たにチーム一丸。

団体戦は、ダブルス2本、シングルス3本の内、3つ取れば勝利。男子は、昨季県ベスト4メンバーの永野大成(3年)と強力なスマッシュを持つ海野勇気(2年)の2人が中心となり、まずは中部大会3冠(団体・ダブルス・シングル)を目指す。女子は、安本結衣(3年)と藤浦ひかり(2年)のWエースが好調だ。経験者の1年生、井原理緒と森田莉央が加わり、さらに厚みが増した。同じ場所で男女別々に練習するが、時には男子と打ち合い、強いスマッシュへの対応力を磨く。競技初心者だった女子主将の入江蛍(3年)は、部内ランク戦の3番手を争う。「最初の頃は空振りしてました。OBやOGの方に教わったり、仲間からアドバイスをもらったり、感謝の気持ちでいっぱい」と自身の成長を振り返った。目指すのは「みんなから応援される部活」。挨拶はもちろん、各自が荷物を綺麗に整理整頓し練習に向かう光景は清々しい。毎週金曜朝には、部員全員で校内の清掃活動を行う。両主将は「人間として成長できる場所」と声を揃えた。

科学技術高校の学科は、機械、電気、ロボット工学、情報システム、建築デザイン、理工科など多岐に渡り、3年生は就職組と進学組に分かれる。春の合宿では3年生だけで話し合い、「不安や迷いもあるけど、東海高校総体までバドミントンに集中しようと決意を固めました」と望月主将。悔いの残らないよう、全員が全力で挑む。


男子キャプテン
望月 飛勇(もちづき ひゆう)
MOCHIZUKI Hiyuu


長田西中出身。幼稚園から中学まで空手を習う。バドミントン部の活気と迫力に満ちた練習を見て、初心者も多いと聞き入部。素早い動きを武器に、個人戦では県大会出場を目指す。「仲間の応援が一番力になる」と、キャプテンとして常に気持ちを高く持つことを心掛け、大きな声でチームを盛り立てる。


女子キャプテン
入江 蛍(いりえ ほたる)
IRIE Hotaru

観山中出身。12年頑張った水泳に区切りをつけ、中学の授業でバドミントンの楽しさを知り入部。学業と部活で忙しい中、時間の大切さに気づき、有意義に使うことで、今年の静岡県ものづくり競技大会の木材加工(高校生の部)で優勝。個人戦のダブルス、シングルス両方で中部地区ベスト16入りを目指す。

おすすめの記事

関連記事