県内外から集結した野球大好きガール80人。野球、ソフトボールの経験者も未経験者も一丸となり、目指すは「笑顔で日本一」!女子野球の裾野拡大には、野球を楽しむことが大前提!

東海大学付属静岡翔洋高等学校
女子硬式野球部

WBC日本代表の活躍を見て、野球の面白さを知った子どもたちも多いだろう。女子高生が野球をできる場をと、2020年に3人の同好会から始まった静岡翔洋高校女子硬式野球部。野球の楽しさを追求する同部を取材した。

明るい笑顔にファッション。女子野球独自の魅力を発信。

今春、チームの土台を作った3人が卒業し1年生25人が入部、部員は80人になった。多くは野球経験者だが、ソフトボール出身や未経験者もいる。約半数は県外出身だ。主将の高野小春(3年)は2年前、高校で野球ができる場を探し、東京から静岡にやってきた。「先輩は3人だけ。最低9人揃えばと思って来たが、まさかこんなに集まるとは」と驚く。同部を創設した弓桁監督は、同校の中学と高校で野球部を指導し、中学では全国大会に導いた経験を持つが、女子野球の裾野拡大には「勝つのも大事だが、野球を楽しむことが大前提」と言う。部員全員が野球の面白さを味わえるよう、出来る限り試合出場機会を与え、チームを3つのカテゴリーに分け、練習試合の機会も増やした。Aチームは日本一を目指し、BチームはAチームへの昇格を目標に、Cチームは野球を楽しむところから。一人一人のレベルや目標は違うが、同じ野球だ。また、女子野球独自の魅力としてファッション性も重視。ユニフォームには部員たちの意見を取り入れ、東海大系列伝統の縦縞にピンク色のラインを加えた。ユニフォームに憧れ、野球を楽しむ雰囲気に惹かれ、入部を決めた部員も多い。現在は中学生も一人、練習に参加している。チームのスローガンは「笑顔で日本一」。笑顔の元は人それぞれだが、共通するのは野球が大好きなこと。野球を通じて高校生活が豊かになることを願っている。

ベスト16の壁を越え日本一へ。みんなで力を合わせ勝利する喜びを。

チームは一昨年夏に全国初出場で初勝利をあげ、昨年の春と夏は全国ベスト16。今春から決勝が東京ドーム開催となった選抜大会は、初戦で優勝候補の履正社と対戦し2対6で敗退した。準決勝で履正社に勝利した花巻東には練習試合で勝っている。高野主将は「強豪校に勝てないと日本一はない。日々の練習から変化を」と今まで甘かった部分を引き締め、ベスト16の壁を超えに行く。

投手陣は、力強く気持ちで投げるエースの手塚凜(3年)を筆頭に、水品彩夏(3年)、川満芽衣(2年)の3枚看板。攻撃は、俊足の井戸穂花(3年)が核弾頭となり、3番の川満、4番の渡辺智絵(3年)がポイントゲッター。小技を絡めて確実に点を取る、緻密な攻撃が完成しつつある。1年生にも有望な選手がおり、レギュラー争いも激しい。この夏目指すのは決勝の舞台「甲子園」だが、ただ勝つだけではない、目標は「笑顔で日本一」だ。高校でバットを置く選手もいる。「後悔だけはしたくない。チーム全員が『やりきったね』と笑えるように」と笑顔を忘れない高野。野球は一人ではできない。みんなで力を合わせて勝利する喜びは野球の醍醐味だ。夏本番、思い切り野球を楽しんだ方に野球の女神は微笑む。WBC日本代表のように。


主将 遊撃手
高野 小春(たかの こはる)
TAKANO Koharu


東京都出身。野球一家で育ち、年長から野球を始める。中2夏から女子硬式野球チームに所属し、全国準優勝を経験。堅い守備と小技を強みとし、プレーだけでなく普段の行動から率先垂範でチームを牽引する頼もしいリーダー。高校最後の夏に最高の笑顔で挑む。


2年生 投手
川満 芽衣(かわみつ めい)
KAWAMITSU Mei


御殿場市出身。年長から野球を始め、中学時代はエースとして活躍。チームの雰囲気と縦縞のユニフォームに惹かれ同校へ。甘い球を見逃さない積極的な攻撃と制球力ある投球を武器に、「投手でも守備でも打撃でもチームの勝利に貢献したい」とベンチ入りを目指す。


 

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