第100回全国高校サッカー選手権静岡県大会決勝で藤枝東を下し、2年振り13回目の全国 切符を勝ち取った静岡学園。これまで多くのJリーガーや日本代表、世界で活躍する選手 を輩出してきた同校が目指すサッカーには、決してぶれない強い信念があった。

静岡学園高等学校 サッカー部

敗戦で見つめ直したサッカー。経験により意識と基準が変わる。

一昨年は選手権決勝で青森山田に逆転勝利し24年振りの全国制覇、昨年は県準決勝で藤枝明誠に敗退。歓喜と屈辱を知る今年のチームは、新人戦、高校総体、選手権で県の頂点に立ち、県3冠を達成した。この快挙に、コーチ時代を含め25年間チームの指導に携わる川口修監督は「全く意識していませんでした」とさらり。目標はプレミアリーグ昇格と選手権全国出場、それ以外は経験の場でしかないという。特に収穫が大きかったのは、高校総体準決勝の青森山田戦。プレミアリーグで首位を走るチームに敗れ、「自分たちのサッカーが全く通用しなかった。チームとしても個人としても、守備の意識、球際の強さ、攻守の切り替えの早さが変わった」と玄理吾(3年)。経験が意識に変わり、基準が変わった。攻撃の印象が強いチームだが、県選手権決勝では守備の意識が際立っていた。プレミアリーグ参戦にこだわるのも、トップレベルの強度でやることが選手の成長に欠かせないからだ。

上で通用する武器を磨け。4選手がJリーグの舞台へ。

チームには、静学サッカーを築き上げてきた井田勝通総監督が掲げる「観ている人を魅了させるようなサッカースタイルで日本一を目指す」が一貫して引き継がれている。「技術がなければ、目指すサッカー、サッカーの楽しさを伝えることはできない」と井田氏の教え子である川口監督もテクニックの習得に徹底してこだわる。指導の基本は「自分の持っている武器を大きく」。具体的な箇所は示さず、選手が自ら考え、点を獲るためのドリブル、シュート技術などを磨いていく。プロの世界で活躍する選手を育てることを第一に考えているからだ。伸びる選手は、素直に聞く耳を持ち、自ら考え、自主的に行動するという。部員は3学年で200人。セレクションはなく、「静学でサッカーをやりたい」と全国から選手が集まってくる。監督含めスタッフ7人は全員静学OB。Aチーム以下、各カテゴリーにコーチを配し、同じコンセプトで選手を育成する。その徹底した指導が、数々のプロサッカー選手を輩出してきた。最近では東京五輪日本代表の旗手怜央選手も同校の卒業生だ。今年も既に4選手のJリーグ入り、清水エスパルスに川谷凪(3年)、ジュビロ磐田に古川陽介(3年)、徳島ヴォルティスに玄理吾、ギラヴァンツ北九州に伊東進之輔(3年)が内定している。「静学から世界へ。1人でも多く世界で活躍する選手を育てたい。それが僕の夢です」と川口監督。昨年12月、9年振りのプレミアリーグ復帰も決め、更なる成長の舞台は整った。今年も静学サッカーが私たちを楽しませてくれそうだ。


玄 理吾(ひょん りお)
Rio Hyon

兵庫県出身。徳島ヴォルティスに内定。ポジションはボランチ。「静学は自分にピッタリのサッカーで進学して良かった。高校では特にキープ力を磨き、トラップやパスでチームにリズムを作り出せるようになった。徳島では1年目からレギュラーの座を掴む。見ている人を楽しませるサッカー選手に」とプロでの活躍に意欲を見せる。

 


川谷 凪(かわたに なぎ)
Nagi Kawatani

大阪府出身。「中学時代はミスを意識したことがなかったが、ここへ来て変わった。ミスを恐れてドリブルを仕掛けられない時期もあったが、練習を重ねて徐々に自信がついた。得意なプレーは裏に抜ける動きと縦への突進」。清水エスパルスに内定し、「まずは試合に出てチームに貢献できる選手に」と目の前の目標に集中する。

 


古川 陽介(ふるかわ ようすけ)
Yousuke Furukawa

滋賀県出身。ジュビロ磐田に内定。「人一倍練習して自分の武器であるドリブルを磨き、2 年の終わりに相手の重心を見極められるようになった。中学までは人と話しするのも苦手だったが、ここに来て人間的にも成長できた。選手権で優勝して静岡に恩返ししたい。将来はドリブルで世界を魅了する選手に」と世界を見据える。

 


 

 

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